こんにちは、MSLABOです。
自分の夢とは何だろう?、自分は何ができるのだろう・・・と悩むことがあります。サラリーマンを辞めて独立を決めた私も、ずいぶんと悩みました。
今日のポイント
悩みの正体
自分の将来を考えると、いろいろな悩みが出てきます。
- このままで大丈夫だろうか?
- 今の仕事を変えるべきだろうか?
- この人と結婚して幸せになれるだろうか?
- よい就職先がみつかるだろうか?
なぜ人は悩むのでしょうか?。そんな将来への悩みを解決するには、どうすれば良いのでしょう?。
「”なりたい自分”になる教科書:石井 稀尚:三笠書房」で、石井さんがハッとするような指摘をされています。
石井さんはミュージシャンであり、牧師であり、カフェオーナーでもあるという異色の才能の持ち主です。そんな彼の所には、人生の悩みを相談にくる人が後を絶ちません。
悩みの正体について、石井さんは次のように書かれています。「人が悩みを抱える最大の理由は、「生きることへの欲求」があるからです」と。
『すぐれた魂ほど大きく悩む』
坂口 安吾:小説家、エッセイスト
愛されたい、自分の才能を発揮したい、幸せになりたい、安心して暮らしたい、よい仕事に就きたい・・・これらの悩みは、ひとことで言えば「より良く生きたい」という気持ちがあるからだというのです。
「とにかく女(男)だったら誰でもいい!」(笑)と思っている人は「この人と付き合って大丈夫か?」なんて、あまり考えませんよね?。
「お金になるならどんな仕事でもする!」と思っている人は、「もっと自分にふさわしい仕事がしたい」などとは悩みません。
だからそんな悩みをもつのは、もっと良い人生を送りたい、充実した日々を過ごしたいといった「生きることへの欲求」があるからだという指摘には、一理あるように思うのです。
悩むことが、より良く生きるためへの欲求(=向上心)だとすれば、悩みはけっして悪いものではないとも言えます。
(画像URL:illust-AC 様:麦さん)
罠におちいる
とはいえ、悩みは楽しくありません。できればサッサと解決して、安心して暮らしたいものです。
だから私たちは、悩みを解決するために「何をするべきか」と考えるようになります。
例えば
- 仕事が面白くない。転職すべきだろうか?
- 彼(彼女)の気持ちがわからない。別れるべきだろうか?
- このままでは志望校に受かりそうにない。もっと勉強すべきだろうか?
といった感じです。
ところが石井さんは、私達が悩みを解決するために「何をするべきか」と考えてしまうのは、悩みを解決する上でおちいる「共通の罠」だというのです。
罠とは、いったいどういう事でしょうか?。例えば家を作る場面を考えてみましょう。
あなたが大工さん(建築技師)だったとして、頑丈な家を建てるとき、もっとも考えるべき大切なことは何でしょうか?。
- 太い柱を用意することでしょうか?
- 木造ではなく鉄筋にすることでしょうか?
- 筋金が入った丈夫な壁を作ることでしょうか?
(画像URL:photo-AC 様:はなたれ君さん)
いろいろと思いつきますよね。でも、彼の答えは違います。それは「しっかりとした基礎(土台)を築くこと」。
固い地面に、しっかりとした基礎をつくることから始めなければ、その上にどんな立派な柱や壁を取り付けても、家は崩れてしまいます。
悩みの解決でいえば、「何をするべきか」と考えてしまうのは、どんな材料や方法で家を建てようかと考えるようなものだと、石井さんは指摘をします。そうではなく、基礎を論じるべきだと。
つまり「何をするべきか=行動=Doing」にばかり気をとられるのではなく、「自分はなぜそれをしたいのか、どのようにありたいのか=想い=Being」に目を留めなさいというのです。
ある青年の事例
石井さんは自身の経験から、以下の様な事例を紹介してくれています(意訳しています)。
ある日、石井さんが講演を行った後の事。母親に連れられて1人の茶髪の青年がやってきました。
青年の将来を心配した母親が、子どもといっしょに石井さんの所へ相談にきたのです。
母親の相談とは次のようなものでした。
「うちの子は警察官になりたいというんです。ところが警察官の試験に落ちてしまって・・・。」
「試験に落ちたことが問題なのですか?」
「いえ、試験に落ちたことはしょうがないんです。」
「でも、あきらめずに頑張るのかと思いきや、今度は電車の整備士になると言うのです。まったく一貫性がない。うちは農家だから、どこにも就職できないなら、家を継いでもらいたいんですよ」。
石井さんは青年と話をします。
すると、彼は見かけによらずに、とてもやさしい心の持ち主だとわかりました。そこで石井さんは、警察官になりたい理由を尋ねる事にしました。
青年が高校生のころ、友達が事故にあいました。その時、担当してくれた警察官がとても親切な人で、友人はたいそう助かったそうです。
青年はそのとき以来、「自分もこういう仕事をしよう」と決心し、警察官になりたいと考えたのでした。
「では、警官ではなく電車の整備士になりたいのは何故なんだい?」。そう尋ねる石井さんに、青年はこう説明をします。
「電車はみんなが乗るでしょ?。事故を起こしたら大変ですよね。僕は人を助ける仕事がしたいんです。友達の事故の時に助けれくれた警察官のように。だから、事故を無くすために電車を整備する人になりたいと思ったんです」
(画像URL:illust-AC 様:acworksさん)
つまり、警察官と整備士という一見なんの関係もない職業も、青年にとっては「人を助ける仕事がしたい」という同じ目的(Being)でつながっていたのです。そこには何の矛盾もありません。
しかし「何の職業に就くのか」という結果(Doing)しか見ていなかった母親には、青年の行動が一貫性のあるものには感じられず、理解できませんでした。
石井さんは言います。
「多くの人は、1つのことに挫折すると、「もう自分はだめなんだ」とひどく落ち込んだりがっかりします。しかし、自分は「どういう人物になりたいのか」(中略)という「状態」を見つめている人は、やるべきことが変わっても失敗者になることはないのです。」
何者になりたいのか、どういった存在でありたいのか。これこそが「しっかりとした基礎(土台)を築くこと」なのです。
自分らしく歩め!
自分の土台にしたがって人生の目標をたてるとき、大切なポイントがあります。石井さんが紹介してくれている中から、いくつかピックアップしてみましょう。
- 他人の意見ではなく、自分の気持ちに従う
- 自分の能力を客観的に見つめる
- 他人になる必要はない。自分らしくある事が何よりも大切
- 目標を妨げるものは、捨て去る覚悟をもつ
- 自分中心に考えない
とても全部は紹介しきれません。
ですが、私がドキっとした指摘を1つだけあげるとしたら、それは「自分の能力を客観的に見る」という事です。
「努力すれば、いつか願いは叶う!」、「君なら出来る!」・・・どれも必殺の殺し文句です。なんとかしたいと必死に悩んでいる時に、こんな言葉をかけられると、つい信じてみたくなります。
しかし、自分の気持ち(土台)にそぐわない分野で努力を重ねても、実りを得ることはできません。なぜなら人は万能ではなく、向き不向きがあるからです。適性のない領域で、がむしゃらに行動しても、願いはかないません。
日本の諺(ことわざ)にも「鵜(う)のまねをするカラス」というのがあります。
鵜(う)は水に潜って魚を捕まえることが得意です。ですが同じ鳥でも、カラスがマネをすれば、魚を獲るどころか溺れてしまいます。カラスにはカラスに合った生き方があるというわけです。
苦もなくできること。得意なこと。他人からの評価の中に、あなたの個性や能力を見つけるヒントがあると石井さんは書かれています。
『その人の一番の適性って、意外とその人は気づかないもんなんだ。苦にならないから、しっかりやれちゃうから当り前だと思って、そのほうの道を選ぼうとしない。回りの目の利く人が気づいてその道に導く。逸材、異才と後に認められる人は、そうして世に出て行く人が多いかな』
志茂田 景樹:絵本作家
また石井さんは神父さまらしく、次のようにも書かれています。
「あなたは、偶然に存在しているのではないということです。あなたは意味と目的を持って(神様により)デザインされた”作品”なのです」。
自分の夢や行動は、あなたらしい生き方になっているでしょうか?。
もしも誰かからの押し付けや、自分の夢をあきらめた結果になっているなら、もう一度「あなたは、どうありたいのか」を見つめなおす必要があるかもしれません。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:自分らしく歩め!
今日の箴言:
坂口 安吾:小説家、エッセイスト
志茂田 景樹:絵本作家
今日の書籍:”なりたい自分”になる教科書:石井 稀尚:三笠書房
今日の写真:illust-AC 様:至福の隙間さん