こんにちは、MSLABOです。
受験シーズンですよね。今でも受験には暗記はつきもの。単語帳を作ったり、赤いシートで字が消えるノートなんかで、繰り返し記憶したのを思い出します。
受験前に、あんなに必死で覚えた英単語や熟語も、受験が終わる頃には、あら不思議、綺麗さっぱり忘れています。
また年をとると物覚えが悪くなる気がするのは、オジサマだけではない筈・・・ですよね?(汗)。
人間の記憶に関して、PREGIDENT Online 様に東京大学の教授で神経科学に詳しい池谷 裕二さんの対談が掲載されていて、大変面白く読ませて頂きました。
その中で面白かった部分を幾つか紹介したいと思います。
1つは「空腹時は記憶能力が向上する」というものです。
なんでも空腹時は、胃から「グレリン」と呼ばれる物質が分泌されるそうで、これが主に短期記憶を司る脳の海馬を刺激するからなのだとか。
昔から「食い物の恨みは怖い」と言いますが、お腹が減っているとイライラして攻撃的になるだけではなくて、記憶力がUPして嫌なことを忘れなくなる事が理由かもしれません。
恐るべし、食い物の恨みです・・・・w。
逆に言えば、受験生のみなさんは、暗記物をする時はお腹がすいている時が良いかもしれませんね(笑)。お腹がぐぅ~っとなったら、記憶がグー(GOOD)ですw。
また一時的な記憶を正確に覚えておく事に関しては、人間よりもサル(チンパンジー)、サルよりも犬、犬よりもネズミ、ネズミよりも鳥のほうが断然優れているのだそうです。
えええええ、に、人間じゃないんだ・・・と愕然としました。
動物は目の前の出来事を写真を撮るように正確に記憶する事に優れていますが、人間は「あいまい」に記憶する事に優れているのだそうです。
どゆこと??
例えば、誰かの顔を正面から撮影した写真と横から撮影した写真があったとして、普通の人は2枚の写真を見せると、同一人物である事に気が付きます。
私達は正面の顔と横顔の中間の顔写真が無いにも関わらず、あいまいに記憶を処理し、顔の特徴などから推論する事で、高度な判断ができるのです。
正確に覚えることは動物でもコンピュータでも出来る。特にコンピュータは正確に覚える事には非常に優れています。しかし「あいまい」に「特徴」を覚える事は、人間が最も優れているというのです。
そのことを示すのに、こんな実験をされていました。
池谷さんの実験に立ち会っているつもりで、みなさんも試してみてください。
ここに幾つかの単語を掲載します。なるべく早く流すように見てください。
砂糖
飴
ケーキ
大きい
クッキー
いちご大福
マシュマロ
食べる
赤い
りんご
はちみつ
味
チョコレート
パイ
キャラメル
熱い
タルト
マドレーヌ
金平糖
マフィン
スコーン
シャーベット
それでは、次の単語のうち、先の一覧に無かったものはどれでしょうか?(スクロールして前に戻っちゃダメですよ:笑)
「甘い」「チョコレート」「砂糖」
みなさん、わかりましたか?。
なんだか、どの単語もみんな入っていた気がしませんか?。
答えは「甘い」が入っていませんでした。
上記の単語一覧は、「甘いものが沢山並んでいる」事に気がついたと思いますが、このような情報から私達の脳は「あ、甘いモノが多いなぁ」と想起し、いつの間にか「甘い」という単語があったように勘違いするのだそうです。
池谷さんはこうした人間の特徴を、「刻々と変化する世界に柔軟に対応するには、正確さよりも 特徴をつかむための「あいまいさ」が大切だったからではないか」と述べられています。
また記憶したものを忘れないようにするには、エピソード記憶といって、覚えたい事を体験やストーリーと関連付けると良いそうです。
例えば、894年に菅原 道真によって遣唐使が廃止されましたが、これを「菅原 道真が、中国に渡る遣唐使の船で、気持ちが悪くなって吐いている姿」と結びつけて、「ハクヨ(894)菅原 道真、遣唐使廃止」とおぼえる。菅原 道真が青い顔をして「ウゲェェェ」と唸っている姿が想像できた人は、もう894年が何の年だったか忘れられない筈です(笑)。
画像は灰原 薬さん(新潮社)の月刊コミック@バンチで連載されている「応天の門」です。右側が若き日の菅原 道真です。このマンガ面白いですよw。
(画像URL:デザイン会社アーテン 様)
という偉人の言葉がありますが、私達は過去の記憶から出来上がっています。
過去の記憶と聞いて嫌なことばかり思い出すという人もいるかもしれませんが、悪いことばかりではありません。
『神は記憶を与えて下さった。それは人生の辛い冬の時期に、6月のバラを思い描けるようにする為だ。』
ジェームス・バリー:劇作家
過去に起こった事実は変えることができませんが、未来に希望を持ったり、過去の失敗を今の人生に良い意味として捉えなおす事はできる筈です。
「あの失敗のお蔭で、いまの大成功がある」という具合ですね。
多くの偉人や大富豪が、「失敗」の過去(記憶)を乗り越えて、成功に到達した事、失敗の大切さを説いています。
過去の失敗を詳細に(正確に)記憶しておく(過去にこだわる)のではなく
脳のあいまいな記憶能力を活かして、失敗した理由やポイントを記憶する。それを未来に活かす。
私も過去に手痛い失敗をしてきましたが、過去を活かすような生き方がしたいと思いました。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
- カリール・ジブラン:詩人
- ジェームス・バリー:劇作家
- エドウィン・ランド:ポラロイドカメラの発明者
今日の書籍:応天の門 第1巻:灰原 薬:新潮社
今日の写真:lllust AC 様:routeさん