悪の秘密結社ばんざい!(その2)

こんにちは、MSLABOです。

前回は「「世界征服」は可能か?:岡田 斗司夫:ちくまプリマー新書」に従い、悪の総統たる心得と行動について見てみましたが、なんだか悪の組織を作るのは思った以上に面倒なようです


本の中で岡田さんは「鋭い指摘」を展開します。

つまり「征服し支配するとは何か」という事です。悪の組織の目標はなんと言っても世界征服ですから、征服や支配についてしっかりと考えない訳にはいきません。

支配する事は一見「周りの者を虐げても、支配者だけが豊かな生活を送ること」と考えがちです。しかし岡田さんは、これでは 「本当に豊か」にはなれないと言います。なぜなら支配者が豊かである為には、その支配者に税金なり食べ物なりを貢ぐ人たちが豊かでなくてはならないからです。当然と言えば当然ですよね。

国民がみんな飢えていたら、税金の徴収だって年貢の奉納だってままなりません。人 民が豊かで幸せでないと、貢ぎ物も増えないし贅沢になりません。

第一人民が貧乏だと、自分たちの組織の力が弱まったとたんに「あの専制君主を倒せー」なんて血気盛んな人が現れて、反乱とか一揆とかが起こっちゃいます。はい、すごく面倒ですw。これなんか、リアルでも空想の世界でもよくある話です。

また物質的な豊かさだけでは人間は満足できませんよね。物の豊かさだけでは補えない空虚な心を満たすには精神的な豊かさが必要で、それを補ってくれる物が、いわゆる娯楽です。

しかし面白いエンターティメントは、自由な発言が保証された安全な国土でしか育ちません。リアルでも共産主義国家の娯楽がどことなく面白味に欠ける一方で、アメリカや日本が世界トップの娯楽産業国家(小説やアニメや映画やドラマ)なのには、ちゃんとした訳があるのです。

ところで、支 配者とは組織の総責任者の事です。世界征服を成し遂げた支配者(あなたや私)は、世界中で発生する様々な問題の総責任者という事にもなります。これ、考えてみると凄い面倒臭い事態になりそうです。

パレスチナ問題も、地球温暖化 問題も、ギリシャの経済破綻問題も、日本の赤字国債も、原発や次世代エネルギー問題も、もしかしたら宇宙人が責めてくるかもしれない問題も(笑)、世界を征服したとたん、ぜーーんぶ「あなたや私」に解決るする責任が回ってくるのです!。えええ、聞いてないよー状態ですよね(笑)。

「えーい、面倒くさい!、俺の言う事を聞かないヤツは死刑 だ」とする事も可能ですが、安直にそんな事をすれば、それが新たな反乱や混乱の火種になります。これもアニメや小説でよくある設定ですよね。

岡田さんは言います。
征服者には元々「特権というウマミ」があったのだとか。「お金には換えられない贅沢」が味わえる醍醐味。庶民はそんな贅沢がある事さえ知らないようなもの。

例えば情報化社会が到来する以前は、一部の貴族や特権階級が王室の広間で、ダンスや社交パーティを開き、豪華な料理を食べていましたが、一般庶民は「そんな世界がある事」さえ知らなかったのが実情ではなかったでしょうか?。

仮に知っていたとしても、身分に応じた階級社会なので「絶対に手が届かない世界」です。豪商がいくらお金をもっていても、「貴族という身分」がないと参加させてもらえない世界があった。だからこそ「シンデレラ」は夢物語になるのです。

し かし情報化社会の現代では、どんな贅沢品にも値段がつき、値段が付く限りはどんな高級品でも購入が可能です。

昔と違い、物を作る人は「特定の特権階級やお金持ちのた め」ではなく「より沢山の人、一般大衆のため」に価値ある物を生み出しています。特にアニメや映画などの娯楽は「大衆文化」なのですね。けっして特権階級用の文化ではな いのです。

岡田さんが面白い例えをされています。

例えばスターウォーズの映画があったとして、お金持ちは特等席や、豪華な家庭内映画館で映画を楽しむ事はできても、貧乏人の私たちが見る内容と同じ映画を見ます。

貧乏人の私たちでも、ある程度のお金を出せば、ゆったりした席と臨場感溢れる音響装置のある映画館で、同じ内容の映画を味わえる訳です。金持ちだから10倍面白い映画を見る訳ではありません。

スターウォーズを作ったスピルバーグも、10倍の制作費を払うから「僕のためにだけ映画を作って」とでも言わない限り作らないでしょうし、そんな映画が面白くなるとは思えません。

そんな情報化社会では、支配者といえども「特権のウマミを独占する」事は難しいと言うわけです。金持ちはF1レースを特等席で見る事はできますが、同じ 事は貧乏人が部屋のTVの前で出来てしまう。

お金持ちは高級フレンチを食べることができますが、それに匹敵する美味しいラーメン(私は高級フレンチ食べた ことがないので、たぶんですがw)を貧乏人だって食べられる。いやいや3つ星などのブランドにこだわらなければ、むしろそんな高級レストランより美味しい レストランが、そこかしこにある筈です。

こうして見ると、支配者になってもオイシクないばかりか、責任だけ重くなるという、なんだか矛盾した事態になりそうです。苦労して秘密結社を作り、賛同者を集め、並み居るライバルを蹴散らし、ついでにお節介な正義の味方とやらを封じ込め・・・苦労した結果得るものが「責任、重圧、少しばかりのお金」とは(汗)。

ではどうすればいいのでしょうか?。
ここからは私の持論になりますが、そんな時は「世界征服して何が成し遂げたかったか」という原点に還るべきだと思うわけです。

例えば「みんなが楽しく暮らせる世界を作りたい(おっと、これじゃ正義の味方か?w)」とか「世界中の美女に囲まれたハーレムを作りたい(笑)」とか。で、その目的を達成するのに必要な権力やお金意外は手放してしまうのです。

つまりは「権力やお金は集めすぎない」という事ですね。権力もお金も、目的を達成するのに必要な分だけ集め、残りはいっそう慈善団体にでも寄付してしまいましょう。その結果、社会全体が豊かになれば、回り回って支配者たる自分も豊かになるという訳です。

どうです?、あたたも一緒に悪の帝国を築きませんか?

長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。


今日の学び:目的以外の権力やお金は集めすぎない
今日の箴言:
今日の書籍:「世界征服」は可能か?:岡田 斗司夫(ちくまプリマー新書)
今日の写真:蛙男商会 様(アイキャッチは秘密結社 鷹の爪の総統です)
いつか書く:

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