こんにちは、MSLABOです。
7月といえば七夕ですね。七夕は「夢」を短冊に書き、夢がかなう事を願うイベントです。果たして夢は「願えば叶う」というのは本当なのでしょうか?。
自己啓発といえば「ポジティヴ思考」が有名です。夢を叶えるためには「夢がかなったように振る舞う事」や、「理想の自分を強く思い描くこと」、「思考は現実になると信じること」などが良く言われています。
私も何度か、そのような内容の記事をお届けしたことがあるかと思います。また沢山の自己啓発書を読んでいると、ポジティブ思考を推奨すれども批判をするような本には、滅多にお目にかかりません。
そんな中、ふらりと立ち寄った本屋で衝撃的な本を見つけました。「成功するにはポジテブ思考を捨てなさい:(著)ガブリエル・エッティンゲン、(訳)大田 直子:講談社」です。タイトルからして、最近流行りのポジティヴ思考にケンカを売っています(笑)。
著者はニューヨークにあるハンブルク大学の心理学教授で、ポジティヴ思考と目標の達成率について長年研究をされています。そんなガブリエルさんが現実とかけ離れた夢を思い描くことは、理想を実現する為の阻害要因にはなっても、力にはならないと指摘をされているのです。
そんなバカな!と思う私に、ガブリエルさんは著書の中で、様々な研究成果を紹介して「夢は願うだけでは、かえって叶わなくなる」という事実を突きつけてくれます(汗)。
例えば、ダイエットに取り組む肥満女性を実験対象にした次のような研究。
「理想の体重になったポジティヴなイメージ」をリアルに思い描いた女性チームと、「途中で甘いものの誘惑に負けそうになるネガティヴ姿」を思い描いた女性チームで、その後の体重の変化を比較しました。
その結果、ポジティヴな姿を思い描いたチームの方が、10キロ近くも体重を減らすことに「失敗」したのだそうです。成功じゃないですよ。ポジティヴな姿を思い描いた方が「失敗」したのです。
また好きな異性がいるけど告白できていない男女を集めた実験では、「好きな異性とラブラブになった姿」を想像したグループと、「途中でライバルが割り込んでくるようなネガティヴな状況」を想像したグループを作り、その後の成果を追跡調査しました。
この場合は、後者の方が「実際に告白して、付き合うことに成功した」人が多かったのだそうです。このケースでもポジティヴ思考チームは散々でした。
ズガガーン・・・・な、なんですとーー!。とゆー事は、なに?。理想の仕事についた自分や、綺麗なおねーさんとウハウハな姿を想像すればするほど、理想からは遠ざかるという事ですか!?。・・・ガッデム・・・・。マジでー・・・(泣)。
著者のガブリエルさんも次のように書かれています。「夢見ることが夢の実現には役立たないと知りながら研究するのは辛かった。(中略)夢見ることが大小様々な願いを叶える一助になればとも思っていたからだ」。
夢を見る事が「毒」にしかならないなんて、あまりにも残酷な話です。ポジティヴ思考をすすめる沢山の本や、偉人の名言は嘘っぱちだとでもいうのでしょうか?。もしそうだとしたら、私達は、どうすれば良いのでしょう・・・。
(画像:photo-AC 様:acworksさん)
著者のガブリエルさんもこの答えを求めます。そして1つの方法、「メンタル・コントラスティング」に行き着くのです。
メンタル・コントラスティングとは「ポジティヴな理想像を思い描いた」後で、「理想を阻むネガティヴな要因(現実)についても思い描き」、その両者を対比(コントラスト)する方法です。
例えば「気になっている彼女と付き合いたい」という夢(理想)があったとします。そんな時は、まず「彼女とデートをし、楽しく会話や食事をしている自分」を思い描きます。大切なことは、まずワクワクしている姿(理想)から先に思い描くことです。
次に「その夢を妨げる現実」について考えます。例えば「会話が下手」だとか「彼女の趣味を知らないので、何を話してよいかわからない」などです。夢がかなった姿を思い描くだけではなく、夢を阻害するネガティヴな要因も考える事が、単なるポジティヴ思考と大きく異る点です。
ガブリエルさんによれば、夢を見ることや、夢がかなった姿を思い浮かべる事が悪いのではなく、「夢がかなえられた姿しか思い浮かべない」事がいけないのだそうです。
本のタイトルは衝撃的ですが、ポジティヴ思考を全面否定しているわけではなく、夢を見る事と同じくらい、現実も直視しなさいと指摘をされているわけです。まぁ、言われてみれば当然ですね。
『未来を語る前に、今の現実を知らなければならない。現実からしかスタートできないからである。』
ピーター・F・ドラッカー:経営学者
では理想の姿と、それを阻む現実を認識した後は、どうすれば良いのでしょうか?。
夢を実現するための具体的な行動計画を立てると良いのだそうです。しかも、その計画では「もしXXXという状況になったら、YYYをしよう」といった形式で、自分の夢を阻害する要因が出現した時の対応を盛り込んでおきます。
XXXには阻害する状況(上手くいかない状況)を、YYYにはその対策を挙げておきます。
例えば「彼女をデートに誘う計画なら、「話しかけてツマラナイ顔をされた時のため、彼女の趣味を調べておこう」とか、「もしデートを断られたら、友達からでも良いと思って落ち着こう」といった具合です。
『幸運といい、不運といい、それは後になって言えることである。ただ自分がよいと思うところを現実の条件から裏付けし、あとは勇を鼓して一歩踏み出すだけである』
大川 博:実業家
偉人もこのように言ってみえます。
自分が良いと思うところ=夢を、現実の条件=それを妨げる要因も含めて裏付けして行動するわけですね。
ガブリエルさんの研究では次のように行動する事が、夢を実現する近道になるそうです。
1)まず夢や、やりたい事を決める。
2)ポジティヴ思考で、その夢が叶った理想の姿を思い描いてワクワクする。
3)次に現実を直視し、夢を妨げる要因をピックアップする。
4)具体的な行動計画を立てる。計画では「もしXXXという状況になったら、YYYをしよう」という形式で、阻害要因を取り除く準備を盛り込む。
最後に大切な事は、どんな人にもメンタル・コントラスティングが「夢をかなえる」力になるわけではないという指摘です。メンタル・コントラスティングが夢をかなえる力になるには、「その夢が、どの程度実現可能だと思っているか」が鍵を握るそうです。
例えば、夢が実現する可能性が低いと感じている場合(一般人が女優さんの彼女を欲しいと思っている場合など)は、メンタル・コントラスティングは「無謀な夢」から自分を遠ざける=夢をあきらめさせる方向に働くのだそうです。
七夕の短冊に夢をかきこむ時は、ぜひワクワクしましょう。次に大切なことは、「何が夢の実現を妨げているか」を考える事。そしてその要因を取り除く具体的な行動計画を立てて実行する事です。
来年も「かなわない夢」を短冊に吊るす事が1つでも少なくなるように・・・。夢とのつきあいかたを考えたいと思いました。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:理想と現実をバランスよく活かす!
今日の箴言:
チャールズ・チャップリン:映画俳優、コメディアン
ピーター・F・ドラッカー:経営学者
大川 博:実業家
今日の書籍:成功するにはポジテブ思考を捨てなさい:(著)ガブリエル・エッティンゲン、(訳)大田 直子:講談社
今日の写真:illust-AC 様:こっそり出版さん