こんにちは、MSLABOです。
成功するためには夢を持ち、目標を掲げ、そこに至る計画をねり、毎日着実に目標に向かって邁進せよ!・・・。どこかで聞いたことがあるような成功哲学です。
今日のポイント
成功哲学?
大きな企業に勤めていると、この事をよく実感します。なぜなら、そこはまさに「目標だらけ」の世界だからです。
短期目標、中期目標、業績目標、売上目標、出荷目標、経費削減目標、人員育成目標、技術目標・・・・。まだまだあります。目標、目標、また目標です。そして目標があれば、その数だけ計画があります。
また成功した企業や事例を研究し、それに習い、模倣し、余計な失敗やリスクを回避して、効率よく最短で成功を目指す・・・などという事も良く言われます。
(画像URL:photo-AC 様:紺色らいおんさん)
企業では事例研究や効率化は、毎日のように叫ばれています。少しでもリスクを減らし、少しでも無駄を省いて利益を出したい。そんな感じなのでしょう。
私も長い間サラリーマンをしていましたので、このような考え方が知らず知らずのうちに身についていました。別の言い方をすれば、このような考え方になんの疑問も持っていなかったのです。
ところで、目標を立て、計画をねり、マイルストーンを確認しながら、他の事例などもよく研究し、着実に歩を進めれば、はたして成功するのでしょうか?。仕事とは、あるいは人生とは、そんな単純なものなのでしょうか?。
社長が見るブログ 様によると、2014年3月に国税庁が発表した「平成24年度分法人企業の実態(会社標本調査)」では、赤字会社は調査法人全体(253万5272社)の70.3%にもなるそうです。
日本企業の7割が赤字なのです!。
それでは、これらの赤字になっている企業では、みんな適当に、無計画に仕事を進めていたのでしょうか?。あるいは成功事例を研究せず、非効率にやっていたのでしょうか?。
・・・そんなわけありませんよね?。大小の差異はあれど、みんな計画を立て、事例を研究し、それなりにやっている筈です。でも、赤字なのです。なぜでしょう?。
もちろんいろいろな原因や理由がある事だと思います。ですが、こうは考えられないでしょうか?。
- 目標に向け綿密な計画を立てること
- 計画通りに実行すること
- 事例を研究し、まねをすること
- 効率化をはかること
- リスクを回避すること
という成功哲学が、「そもそも間違えている」のだと!。
目標主義の落とし穴
「仕事は楽しいかね?:(著)デイル・ドーテン、(訳)野津 智子:きこ書房」に、こんな言葉が書かれています。
「きみは、最初に陸にあがった魚は、長期にわたる目標を持っていたと思うかね?」
皮肉が込められた言葉にも聞こえますが、目標主義の欠点を見事に言い表しています。
陸にあがった魚が、「よーし、次は四本足で駆けまわり、いつか羽根を生やして空を飛び、最後は人間になろう!」なんて・・・思っていた筈がありません。
(画像URL:illust-AC 様:まーやんさん)
本にはこうも書かれています。
「僕達の社会では、時間や進歩に対して直線的な見方をしている。(中略)目標を設定し、それに向かって努力しなさい、とね。だけど人生はそんなに規則正しいものじゃない」。
成功に明確な目標や計画が必要ない事例として
- スティーヴ・ウォズニアック(Appleコンピュータを作った男)
- ジョン・ペンバートン(コカ・コーラの創業者)
- リーバイ・ストラウス(リーバイス・ジーンズを作った男)
などの例をあげています。
調べるとわかりますが、いずれも「無計画」に事を運び、世界的な企業へと発展した事例です。
デイルはこう書いています。「目標や夢がないからという理由で失敗した事業を、僕は知らない」。
そして、こう続けます。「夢や目標こそが成功の秘訣だということは数えきれないくらい耳にするけど(中略)十人中九人が失敗する。ろくでもない秘訣だね、そんな目標や夢なんて」。
つまり、世の中は常に変化しており、動いている。想定外の事態はいつでも発生する。だから、ある目標を作ったとしても期待通りに達成できる見込みなどないという事です。
目標や計画が大好きな人たちにとっては、卒倒しそうな話です(汗)。
では成功するために、先人の工夫や事例を研究する事についてはどうなのでしょう?。
これについては、レイモンド・ベリーの話を紹介してくれています。ちなみにレイモンド・ベリーはNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の殿堂入りを果たした名選手です。
彼は、どうしたら今よりも素晴らしいパスが出せるようになるのかを知りたいと思いました。そこで、優れたフットボール選手を片っ端から研究し、パスの極意を見つけようとしたのです。
苦労の末、ベリーはついに優れた選手の共通点を見つけ出しました。なんとそれは、「それぞれが違った方法でボールを投げていること」だったのです・・・。
先人を見習い事例を研究する人たちについて、デイルはこう書いています。
「彼らはね、他人を凌駕する人材になろうとしているけど、それを他人と同じような人間になることで、達成しようとしているんだ」。
これは企業でもよくありますよね。他社の成功事例や改革を取り入れて、成功にあやかろうというわけです。業績評価主義(年功序列の廃止)や時短労働、組織のフラット化、ISO、企業統制・・・例を挙げればキリがありません。
自分の企業の特徴や風土などお構いなし(考えなし)にです。当然うまくなど行きません。他社の事例は、あくまで「他社だからできた事」だからです。
『今までと同じ考えや行動を繰り返して、異なる結果を期待するのは狂気である』
アルベルト・アインシュタイン:理論物理学者
でも私達も、自分の人生において同じ過ちをおかしています。
自己啓発書をよみ、それをマネして成功を夢見ます。誰かが儲けたという話に飛びつきます。でも上手く行きません。そして悩みます。どうしてだろう?、きっと努力が足りないに違いない。もっと頑張らなくては・・・。
デイルはこう書いています。
「小説を研究しても小説家にはなれない。ピカソの絵を切り抜いてコピー機にかけても、ピカソにはなれない。成功を研究しても成功は手に入らない」。
(画像URL:illust-AC 様:ほんぽさん)
船に乗る
それでは、どうしたら良いのでしょうか?。
デイルは成功について、こう述べています。「みんな、成功した人の右に倣(なら)えをしようとするけど、成功するというのはね、右に倣えをしないっていうことなんだ」。
- 前もって目標を決めたり、計画を立てたりしない
- 当てずっぽうに取り組む
- 前例や成功例を気にしない
- その時々にあった、自分なりのやり方で取り組む
- 遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る
こういう事のようです。これをデイルは端的に次のように書いています。
「明日は今日と違う自分になる」。
こう考えてみてはどうでしょうか?。
この世の中はゴウゴウと音を立てて流れる大きな川なのです。あるときは激しく、あるときは緩やかに、くねくねと蛇行しながら流れています。
水(成功)をつかみとろうと、岸辺に固定の水汲み台(目標、計画)を建てるのは無意味です。
なぜなら嵐がきて濁流が襲えば、その台は壊れてしまうからです。たとえ壊れなくとも、台を作るのに時間をかけていると、そのうち水の流れが変わって、その台は乾いた大地に立つ無用の長物になるかもしれません。
だから水を汲み上げるためには、船を出すのです。
水の流れに逆らうのではなく、ゆらゆらと水に浮かんで流されながら、船の上から水を汲むわけです。これなら船が転覆しないようにさえ気をつけていれば、水の流れがどう変わっても、つねに豊かさは足元にあります。
(画像URL:illust-AC 様:フリーカットさん)
スティーヴ・ウォズニアックは、自分自身が遊ぶために、そして仲間に自慢するためにAppleコンピュータを作りました。これを商売にして、大成功してやろう!なとどは考えもしていなかったのです。
商業OSとして有名なLinux(リナックス)。LinuxはAndroidやiPhoneなどの携帯電話OSのベースにもなっています。その大元はUNIX(ユニックス)というOSですが、これはデニスとカーニハンが、自分たちがゲームで遊びたい一心で作りました。
フェイスブックを始めたザッカーバーグは、同じ学校にいる女の子と気軽に友達になりたくて、このサービスを考え出しました。すごくわかりやすい理由です(笑)。
でも「予想もしない事」が起こったのです。
『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が残るのでもない。 唯一生き残るのは変化する者である』
チャールズ・ダーウィン:自然科学者
この言葉はダーウィンが語ったものではないとも言われていますが、進化というものを端的に捉えている言葉だと思います。
私も「明日は今日と違う自分になる」という言葉を胸に、ワクワクする事を、好きなように、あれやこれやと、結果を気にせずに試してみたいと思わせていただきました。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:目標なんて立てずに、気軽に取り組もう
今日の箴言:
アルベルト・アインシュタイン:理論物理学者
チャールズ・ダーウィン:自然科学者
今日の書籍:仕事は楽しいかね?:(著)デイル・ドーテン、(訳)野津 智子:きこ書房
今日の写真:photo-AC 様:acworksさん