こんにちは、MSLABOです。
世の中にはカリスマ社長や名物経営者と呼ばれる方が大勢みえますよね。具体的な会社名や人物名は想像におまかせしますが、それに比べて我が社は・・・なんて思います。
私は(もうすぐ退職してしまいますが)大手IT会社に勤めるサラリーマンです。当然ですが我が社にも社長がいます。でも社長には申し訳ないのですが、世の中で注目されているようなカリスマ経営者のキラキラ感はありません(汗)。
みんなのあこがれとなる社長や経営者だけではなく、カリスマ社長や有名経営者の中にはブラック企業の代表と呼ばれるような残念なパターンもあります。
(画像URL:illust-AC 様:Shrimpgraphicさん)
ところが、ブラック企業の経営者と呼ばれる方々の主義主張をネットでチラホラ見かけると、1言1言は意外とマトモな事を言っているように思えてしまいます(汗)。
例えば、あるブラック企業の経営者の言葉。
・会社を思う気持ちが強い人が伸びる
・決めたことを全員で全力で取り組む
・苦境を突破する上で、団結に勝るものはない
・付加価値を与えられる仕事こそ価値がある
どれも言葉尻だけを捉えると、間違えているとは言えないものに思えます。しかし、そんな彼らの会社は、多くの従業員を不幸にするブラック企業なのです・・・。
労働時間が異常に長い、いつも休暇が取れない、残業代を払わないなど、あきらかな法律違反を行う企業は論外ですが、ブラック企業とホワイト企業の差異はどこにあるのでしょうか?。
ある方がAmazonの書籍レビューに、こんな事を書き込まれていました(要約しています)。(参考URL:Amazon 書籍レビュー engineer0318 さん)
ブラック企業とホワイト企業の目的は、企業であるかぎり共に利益をあげ、企業を存続させる事です。しかし実情は正反対になる。
その違いは、ブラック企業は労働者を「搾取する対象、単なるコマや道具」と考える短期利益重視主義。ホワイト企業は、労働者の満足度を高め自主性の発揮を重んじる長期利益重視主義である事です。
なかなか鋭いと思いました。
従業員を「仲間」と考えるか「道具」と考えるかで、理念や経営方針が似ていたとしても、片方はブラックと呼ばれ、もう1方はホワイトと呼ばれるわけですね。
それでは仕事は何の為に、そして誰のために行うのでしょうか?。
「どう働く:青木 仁志、坂本 光司:あさ出版」に法政大学教授の坂本さんが次のように書かれています。
「会社とは社会に役立つ仕事をする所である。世のため、人のためになる価値を創造するところ、人や社会を幸せにするところ、人の自己実現を支援する場、そして人生最後の学びの場である」。
もちろん、この「人」の中には「顧客」だけではなくて「従業員」も含まれています。
坂本さんは、「会社とは金儲けをする場所や、利益をあげる場所ではない」とバッサリと言い放ちます。
さらに、モノづくりをする場、仲間同士蹴落とし合う場、いがみ合う場でもないと付け加えます。その上で、静岡県にあるモルティーという美容院の次のような例を紹介してくれています。
モルティーには、毎週必ずやってくるお洒落なおばあさんがいました。いつも髪をセットし、嬉しそうに帰って行きます。
ところがある日を境に、そのおばあさんがぷっつりと店に来なくなりました。店の経営者は「他に良い店を見つけたのかもしれない」と思ったそうです。
そんなある日、他の常連さんから、そのおばあさんが病気になり施設で1人暮らしをするようになったため、美容院に来られなくなったと聞かされます。
それを聞いた経営者は、あんなにお洒落で髪をセットしてもらうのが好きだったおばあさんが、そんな状況になっている事に心をいためたそうです。
おばあさんの様子が気になった経営者は、思い切ってその施設を訪ねてみました。
そこにいたのは「施設カット」と呼ばれる短く髪を刈り上げられて、男だか女だかわからないような髪型にされたおばあさんでした。施設は洗髪や介護の効率を第一に考え、手間がかからない髪型にしていたのです。
経営者は自分が送り迎えをするので、おばあさんを美容院でカットしたいと申し出ました。ところが施設は「そこまでして儲けたいのか」と、経営者の申し出を全く受け入れてくれません。
そんな冷酷な施設に経営者は、「おばあさんを美容院に連れていけないなら、自分が出向いてでもカットする」と決心します。
そして、そのおばあさんの為に中古の大型車を購入し、借金をして、2700万円もかけて中古車を移動美容室に改造したのです。全ては、たった1人のおばあさんのために。
(画像URL:人に優しい美容室 モルティー 様)
久しぶりにシャンプーをし、綺麗に髪をカットしたおばあさんは、満面の笑みを浮かべて喜んでくれました。
やがてこの移動美容室は、口コミで広まります。そして美容院に通えない方たちに幸せを提供する設備となりました。いまでは、経営者の会社は移動美容室の会社として有名になっているそうです。
坂本さんは、この話をこう結んでいます。
「企業は金儲けのために存在しているのではない。人々を幸せにするために、必要があって社会に存在しているのだ。」
『勤勉だけが取り柄なら蟻と変わるところがない。なんのためにせっせと働くかが問題だ』
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー:作家、詩人
これは想像でしかありませんが、ブラックと呼ばれるような企業では、「仕事は利益を上げるために行う」、「会社(社長)の為に働く」という考え方が幅を利かせているのではないでしょうか?。
ところでそんな思いを胸に、サラリーマンによくある「愚痴の言い合い、慰め合い」的な飲み会を行っていた時、ある同僚からこんな指摘がありました。
「でもさー、うちみたいに誰がなっても変わらないパッとしない社長にも良い所があるよね。誰がなってもおんなじだから、務める方は大きな変化がなくて安心していられる」。
なるほど!と思ってしまいました(笑)。ブラックかホワイトかに関わらず、尖った個性の強い社長が就任したなら、我々下々のサラリーマンはとてものんびりしたムードではいられないかもしれません(笑)。
それに尖ったカリスマ経営者は、時として極端な経営を行うこともあるでしょう。一歩間違えば会社が倒産する危険性さえあります。
上記の美容院の社長だって、(結果的にうまくいったから良いものの)借金をして1人の顧客のために回収できないような投資をしたのです。場合によっては、そんな無理がたたって会社が倒産していたかもしれません。
しかし・・・です。それでも、私たちは上記のような話に感動を覚えます。心が揺り動かされます。
だから、そんな社会に必要とされる会社は、思い切った経営を行ったとしても、思いの外倒産するような事は無いのかもしれません。なぜなら私たちはそのような感動する話が大好きですし、同じサービスを受けるなら、そんな会社で受けたいと思うからです。
『人のためになる仕事をして働き甲斐を感じる。そんな考えこそ日本が守るべき価値だ』
ロナルド・フィリップ・ドーア:社会学者
「人のためになる事だ、自己実現だ」といっても、その実体が会社や経営者が儲けるために従業員を言いくるめて、金儲けに奔走しているのでは、やっぱりブラックになってしまいます。
大切なのは「言動一致、終始一貫してその価値のために努力(経営)できるか」ではないでしょうか?。
我が社が安定しているのは、パッとしない社長のおかげ(?)であるとしても、会社をやめて独立する限りにおいては、私も人々に必要とされるような仕事に首尾一貫して取り組まなければと学ばせていただきました。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:優先すべきは人のためにという思い
今日の箴言:
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー:作家、詩人
ロナルド・フィリップ・ドーア:社会学者
今日の書籍:どう働く:青木 仁志、坂本 光司:あさ出版
今日の写真:freepic.com 様