こんにちは、MSLABOです。
私達は人に親切にする際にツイツイ見返りを求めてしまいます。見返りを求めてしまうのは致し方ない事とはいえ、それがいつしかGIVE&TAKEからTAKE&TAKEになってはいないでしょうか?。
GIVE&TAKEとは、文字通り「まずは自分から差し出し(サービスする、奉仕する、親切にする)、しかる後に見合う報酬(お金、感謝、喜び)を得る事」です。
求めるなら、まずは与えなさい!という事ですね。
しかし私達が経験する様々な場面では、必ずしもGIVE&TAKEとはいかない事が ままある ように思います。
例えば企業活動では、「会社はボランティアではないのだから、仕事に見合う報酬をもらいなさい」と言われます。これは当然ですね。いくらお客様に喜ばれても、利益がでなければ会社は成り立ちません。
仕事(サービス、商品)を与え(GIVE)て、報酬(お金)を得る(TAKE)わけですから、素直に考えればGIVE&TAKEの精神に則っているように思います。
しかし利益を重視するあまり、「利益にならないことは、やらない(やるな)」となり、究極的には「お客様が困っていても、自社の利益を守れ」となってしまうのは、我が社だけではないように思います。
幸い自分の会社では不祥事が大きなニュースになった事はありません。しかし世の中では、商品に欠陥がある事に気がついても会社の利益を重視するあまり直ぐには公表しない。やがて被害が拡大し、社会問題になるといった事例が後を絶ちません。
お客様の方でも、「少しでも安く買い叩こう」、「受け取るサービスは最大に、支払いは最小に」という気持ちが強くなると、「サービスを受けるのは当然」と考えるようになり、企業側の利益を損ねます。
その結果、企業側の不祥事や利益最優先的な態度を招く遠因になっているのではないかと思います。
「安かろう悪かろう」とはよく言いますよね。これは何も安い商品の品質が悪いというだけではなく、企業にしろ顧客にしろ、自分の利益(TAKE)を追求し過ぎると、全てが上手く回らなくなる事を言い表しているように思えます。
「1%の成功者だけが知っている豊かさの法則:山崎 拓巳・リン・A・ロビンソン:VOICE」で、リンさんは次のように書かれています。
「繁栄する人とは、時間、お金、アイデアなど、どんなかたちであれ、受け取るだけでなく与える人でもあるのです。自分にあるものを与えることによって、流れ込んでくる豊かさはいっそう大きくなります」。
日本の諺にも「損して得取れ」とか「損せぬ人に儲けなし」というのがありますが、同じ考え方ですよね。
昔の豪商(有名な商人)には、大阪商人、伊勢商人、近江商人があります。日本3大商人というのだそうです。
中でも近江商人は鎌倉時代から昭和時代(特に戦前期)にかけて活躍した滋賀県出身の商人で、その流れをくむ企業には、高島屋、トヨタ自動車、伊藤忠商事、ヤンマー、日清紡、ワコール、日本生命保険など日本(いや世界)を代表する企業が名を連ねています(参考 Wiki「近江商人」記事 様)。
その近江商人が大切にした格言が幾つかあるそうです。紹介してみましょう。
1)三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)
商売は、売り手(企業)、買い手(顧客)が共に喜ぶものである事という意味です。まさにGIVE&TAKEの精神ですね。面白いのは売り手と買い手だけではなく、世間よし(世の中の役に立つ事)が加わっている所。
売り手、買い手の事だけではなく、世の中が豊かになる事が商売の基本であるとの理念が取り入れられていて、さすがは豪商!と思わせるものがあります。
『経営者は、自分の商売から、業界、産業界、さらには、社会、政治、国家、世界まで広げて、一連の責任を自覚することが要望されている』
松下 幸之助:パナソニック創業者
2)利真於勤(りはつとむるにおいてしんなり)
利益は商売の結果得られる「おこぼれ」であるという事です。
「まずは我が社の利益を確保しよう!」ではなく、まずはお客様に喜んでもらう。その結果、与えた喜びから顧客の期待を差し引いたもの=利益となるわけです。
投機商売、不当競争、買い占め、売り惜しみ、山師商法や政治権力との結託による暴利ではなく、本来の商活動に励みなさいという教訓なのだそうです。(参考URL:三方よし研究所 様)2020/12現在Linkが見つかりません
『商の原点は、どうしたら売れるか儲かるかではなく、どうしたら人々に心から喜んでもらえるかである』
松下 幸之助:パナソニック創業者
3)陰徳善事
人知れず善い行いをすることです。人にしっかりと見えるように何かを行うことをサービスと言いますが、人知れず心を尽くすことを「おもてなし」と言います。
陰徳ではありませんが、人のために私財をはたいて奉仕した商人の話は、沢山あります。
たとえば近江商人と並んで有名な大阪商人。関西には、XXX橋 と地名に「橋」がついた場所が沢山あります。大阪は水の都で「八百八橋」と呼ばれるほど川と橋が多い街です。
実際に有名な大きな橋は200あまりあるそうです。その中で公儀橋(こうぎばし)と呼ばれる江戸幕府が作った橋はわずか12橋。他の多くの橋は地元商人や町人の寄付で作られました。中でも豪商 淀屋が作った淀屋橋は有名です。(参考URL:一般社団法人 大阪市老人クラブ連合会 様、水都物語 様)
また、商人の話で言えば、富山の薬売りの話もあります。
富山の薬売りは、北は北海道から南は鹿児島まで、全国各地に薬を売り歩いていました。私が小さい頃、実家にも富山の薬売りの薬箱が置かれていて、定期的に薬問屋さんが薬の入れ替えに来ていました。
「思いやりのこころ:木村 耕一:万年堂出版」に、富山の薬売りに関するこんな話が紹介されています。
昭和のはじめ、北海道の開拓地が大変な凶作に見舞われた時の事。富山の薬売り問屋が薬の入れ替えに訪れた家々も、凶作のためロクに食べ物がない状態でした。
食べるものにも困っているのですから、当然薬代など払えるわけがありません。
ここで「自社の利益を優先」するなら、「お金が払えないなら、薬は売れませんね」と言う所なのでしょう。ところが富山の薬売り問屋さんは「薬代は後で良いから、この薬で病気を直し、子どもたちを大切に育ててください」といって、無償で薬を置いて回ったそうです。
何年かたって豊作になった際、北海道の開拓民の人たちは「まずは、支払いは薬問屋さんから」と言って、真っ先に薬問屋さんにお金を払ってくれました。
商売は「単に商品とお金を交換するだけのもの」ではない事を、これらの話から学ぶことができます。利益至上主義の我が社の社長にも聞かせてあげたい話です(汗)。
私も、大したものは差し出せませんが、「せめて思いやりを差し出す」事を大切にしたいと思いました。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:せめて思いやりを与えよう
今日の箴言:
松下 幸之助:パナソニック創業者
淮南子(えなんじ):古代中国の思想書
今日の書籍:
1%の成功者だけが知っている豊かさの法則:山崎 拓巳・リン・A・ロビンソン:VOICE
思いやりのこころ:木村 耕一:万年堂出版
今日の写真:illust-AC 様:七色ぽけっとさん