こんにちは、MSLABOです。
独立開業する際に、ついつい考えてしまうのは「どうしたら、稼ぐことができるか?」。将来への不安が一杯な状態では無理もありませんが、どうやらこの考えは、あまりオススメできないようです。
会社という大きな組織で仕事をする場合、自分の実力以上に会社の看板で仕事をしています。しかし会社でいくら地位があろうが、社内で有名であろうが、独立してしまえば「ただの人」。独立開業について書かれた本や著名人の本を読むと、「会社という看板が外れた途端に、仕事の確保が難しくなる」と書かれています。
しかし、「どうしたら稼ぐことができるか?=仕事を確保する事」ばかりを考えると
・稼ぐためには、どんな仕事でも引き受ける(やりたくない仕事でも受ける)
・無理をしてでも、仕事を取りに行く
・少しでも報酬が高い仕事を取ろうとする
事になりがちなのは、容易に想像がつきます。
もちろん上記のような「なんでもやります!」的な要素は、時として必要ですし、まったく否定されるものでもないとは思います。
しかし「嫌な仕事を我慢してやる。給料(報酬)の為に働く」のであれば、なにもサラリーマンを辞める必要はないとも言えます。だって、それって(私のようなスチャラカ)サラリーマンの働き方そのものですからね(苦笑)。
せっかく独立するわけですから、「メシを食えるようになる事」はもちろん大切なのですが、やはり「自分の納得のいく事、成長できる事、夢中になれる事」でメシを食いたいものです。
「感情に振りまわされない―働く女(ひと)のお金のルール:有川 真由美:きずな出版」に、「好きなこと」を仕事にする事と「稼ぐこと」について、様々な観点で紹介がされていて、面白く読ませて頂きました。
本のタイトルは「働く女」となっていますが、「働く男」にも十分参考となる内容の本です。
有川さんは、仕事について次のように書かれています。
「社会の中で「いい場所があるよ!」という都合の良い席が空いていることはありません。自分の居場所は、自分でつくっていかなければ、手に入れることはできないのです」。
自分の価値を社会に提供し、自分の居場所を自分で確保する事が「仕事」であり「働く」事であるとの指摘、私にも実感があります。私の会社でも「頼りにされる人」は、「この人でなければ」と思わせるものを持っていますし、誰にでもできる仕事は「それなりの人」にしか任せません。
しかし有川さんの本を読んでいて、そこで陥ってしまう「罠」が「自分の価値を提供する=自分の価値は高く売れるはずだ」という思いだという事に気が付かせていただきました。
そもそも、価値(収入)は「提供する側」と「必要とする側」の思いが一致した時、始めて生まれます。求める人がいなければ、いくら優れた能力や知識があっても、価値を生み出しません。
例えるなら、「ミネラルウォーターが100円で買える日本では、コップ1杯の水道水は「タダ同然」でも、砂漠で死にそうになっている人には何千万円もの価値がある」のと一緒です。
有川さんはこれを「(自分が)求める場所ではなく、(自分を)求めてくれる場所」で仕事をしなさいと表現されています。また次のようにも書かれています。「稼ぎ力を上げるいちばんの方法は、「いくらもらえるか」を考えるのではなく、「自分はどれだけ人を喜ばせられるか」を考えること」ですと。
つまり「いかに高く売ろうか、いかに稼ごうか」という「自分視点」で考えるのではなく、「いかに欲しいといってもらおうか、いかに喜んでもらおうか」という「顧客視点」で考える事が重要だというのです。
言われてみれば「その通り」な内容なのですが、独立開業という不安を目の前にすると、ついつい忘れてしまう考え方です。
『商売の利潤というものは、追求するものではない。利潤は、その事業が社会に貢献することによって社会から与えられる報酬である。』
黒田 善太郎:コクヨ創業者
有川さんは「物書きとして、メシを食いたい」と思って活動した際、「とにかく無名な自分が物を書かさせて頂くのだから報酬にこだわらずに書こう」と決意し、周りのライター仲間が「原稿料が安いから、その仕事は引き受けない」というような仕事でも、一生懸命にこなしていったそうです。
つまり「稼ぐためには、どんな仕事でも引き受ける」の「どんな」は、「仕事の内容を問わずに」という意味ではなく、「自分の実績や実力を向上させる仕事や、夢と方向が一緒な仕事であれば、報酬を気にせずに何でも仕事を引き受ける」という事なのでしょう。
逆に「稼ぐためには、どんな仕事でも引き受ける」とどうなるのか・・・
『貧乏に対する恐怖に人生を支配させてしまえば、その報酬として食べていくことができるだろう。しかし生きることはできなくなる』
ジョージ・バーナード・ショー:小説家、ノーベル文学賞受賞者
食べることはできるようになるけれど、生きること(満足すること)はできないよと、ショーは指摘します。
そして自分を向上させる仕事を引き受けたら、その報酬にかかわらず「一生懸命」にやる。「どうしたら、依頼主が喜んでくれるか」を考えてやる。
そんな小さな一生懸命の積み重ねが信頼を形成し、やがて大きな仕事が舞い込む、やりたい仕事が継続してできるようになるのだと、改めて勉強になりました。
私の記事は、果たして誰かの役に立っているだろうか?。
時々不安になりますが、自分を信じて、このブログや私のできる仕事でもっと人に役立つためには何が出来るか・・・原点に立ち返って考えてみたいと思いました。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:どれだけ人を喜ばせられるかを考えろ
今日の箴言:
黒田 善太郎:コクヨ創業者
バーナード・ショー:小説家、ノーベル文学賞受賞者
ジョナス・ソーク:生化学者・細菌学者
今日の書籍:感情に振りまわされない―働く女(ひと)のお金のルール:有川 真由美:きずな出版
今日の写真:photoAc様 : acworksさん