ニートの真実

こんにちは、MSLABOです。

今まで20年以上に渡り会社に奉仕する「働きアリ」としてモクモクとやってきました。とかく「アリ」といえば日本人を象徴するような「組織に殉じる働き者」というイメージがあります。
ところが・・・実際の蟻には、なんと働かない蟻がいるそうなんです。


蟻の多くは地面の中に巣を作ります。私たちが見るのは巣の外で餌を探している蟻ですが、巣の中には餌を探す以外の沢山の仕事をこなす内勤蟻がいます(なんだか、人間の会社みたいですねw)。

これらの蟻を生物学者が観察した結果、大勢の働き蟻の中で常に活発に働くのは3割ほどで、残り7割は普段目立った働きをせず、さらにその内の2割は「ほとんど働かない」蟻である事が判明したそうです

この辺りの話は、『働かないアリに意義がある:長谷川 英祐:メディアファクトリー』に詳しく書かれています。

蟻の社会は人間社会とは異なり、司令塔となる管理者がいません。え、女王蟻は?って思いますが、女王は子供を産むのが主な仕事で、決して働き蟻を指揮監督している訳ではないそうです。

女王様がムチとロウソクをもって、ペチペチやるのは人間社会だけという事ですね(笑)。

さてそのような蟻社会ですが、人間社会のように指導者や管理者がいないという事は、なにかあった場合に、誰かが判断し、命令一下統一した動作をすることができないように思います。

ところが、実際の蟻達は自然環境にうまく適応し、上手にコロニーを維持します。なぜ彼らには指導者がいないのにも関わらず、組織全体として意味のある行動ができるのでしょうか?。

長谷川さんによれば、その秘密が「働かない蟻」にあるのだそうです。

蟻達の仕事の中には、餌を確保したり、巣を修復したり、女王や幼虫の世話をするなど様々なものがあります。仕事の中には幼虫(卵)の世話のように、常に関わっていないと卵が死滅してコロニーが危機におちいる仕事もあれば、一時的な餌の運搬のように急を要さない仕事もある。

そんな中で、全員がいつも全力で働いてしまうと何が起きるのか・・・。

長谷川さんによれば、緊急案件が発生した(例えば大量の餌が見つかったとか、敵が侵入したとか)場合、みんなが疲れてしまっていて余力が無くて対応できなくなるので、そのようなコロニーは生き残れないのだそうです。

え、蟻も疲れるのっかって思いましたか?。

私も始めて知りましたが、研究者によれば蟻も働くと筋肉の中に「乳酸」という疲労物質が増加する事がわかっているそうで、つまり疲れるんだそうです。

全員がいつも全力で働いてしまうと、みんなが疲れてしまう。みんなが疲れると、労働を長続きさせることができず、卵の世話のような重要な案件の仕事が十分こなせなくなる。

その為「いつも働く蟻」達が疲れて休んだら、その時始めて「働かない蟻」達が活躍して穴を埋め、「いつも働く蟻」が元気になったら「働かない蟻」はのんびりするという仕組みを作る事により、コロニー全体で見た労働量を最適化して、生き残っているのだそうです。

「働かない蟻」は蟻社会の「予備要員」であり、「その時」が来れば働く為にいるというわけですね。面白いです。

人間社会でも、言うことを聞いて常に働くアリ=従順で結果を残す社員ばかりを優遇するあまり

  • 儲けないヤツは役立たずだ!。もっと働け!とムリに働かせたり
  • 生産性の低い人や儲からない事業はリストラだと、目先の利益を上げる仕事や社員ばかりを残そうとしたり
  • 経営者は神様で、言うことを聞く規格品ばかりの個性のない社員で構成された会社

うわ、どこかのブラック企業みたい・・・は、余力が無くなり硬直化して社会変動について行けずに自滅の道を辿る。人事(いやいやアリごと)では無さそうです。

ただ長谷川さんも書かれていますが、ココで言う「働かない蟻」は、けっして「働きたくない蟻」ではないというところが重要です。蟻の社会にも「働きたくない蟻」はいるそうですが(いるんだ・・・うは)、そのような寄生蟻が増加するとコロニーは死滅するそうです。

ニートの中にも、そして働きアリに例えられるサラリーマンにも「働きたくないアリ」は存在します

その一方で、その両者のどちらにも「働きたいけど適応能力が低いアリ」=「効率や生産性が悪かったり、人付き合いが苦手だったり、直ぐに利益に結びつかない行動をするアリ」が存在します

「働きたくないアリ」は社会にとって有益ではありません。

しかし「働きたいけど働けないアリ」は、見かけ上は役立たずでも、けっして疎外したり駆逐してはいけません。彼らには重要な意味があるのですから。直ぐに利益に結びつく行動をするアリも重要ですが、働けないアリを疎外する社会は滅びます。

最後に2人の偉人の言葉を紹介したいと思います。

進歩が生まれるのは、多様性の中の選択からであって、画一性を保持するからではない。
ラスキン:イギリスの思想家


多様性は活力であり進歩の源である。
企業は社会や消費者に「それまでに存在しなかった価値」を提案できなくなったら、組織として機能しなくなる。

ルチアーノ・ベネトン:ベネトン創業者

長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。


今日の学び:残念なアリにも意味がある!
今日の箴言:

  • ラスキン
  • ルチアーノ・ベネトン

今日の書籍:働かないアリに意義がある:長谷川 英祐(メディアファクトリー)
今日の写真:freepic.com
いつか書く:ブラック企業について

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