褒める事は難しい

こんにちは、MSLABOです。

あなたは他人を褒めることが上手にできますか?。実は私は苦手なんです。部下にもツイツイ厳しく当たってしまい、欠点ばかりを見てしまいます。・・・。今日はそんな「褒めること」について書いてみたいと思います。


他人の良い所を見つけて褒めるのは意外に難しいものです。褒めるためには、相手の「良い所を積極的に見つけ」、相手の「欠点を寛容に受け止める」必要がありますからね。

自分の子供に対しても、少しできると「もっとがんばりなさい」と更に要求し、反対にできないと「どうしてできないんだ」と責めてしまう事はありませんか?。

そもそも人間は自己中心的で、「自分と比べて上か下か」で物事を判断しやすいですから、相手を素直に褒める、他人を認める事は難しいのかもしれません。

自分の方が正しい、自分の方が上だという気持ち(高慢な心)があると、中々人の良いところを見ることができません。人が何か素晴らしいことをしても、「たいしたことない。自分だってそのくらいできる。」と思い、その良さを素直に認めることができません。

また逆に自分の事が好きじゃないと、相手に比べて自分を卑下してしまい「どうせわたしなんかダメだ」「自分とは関係ない」と、これまた素直に相手を褒める事ができません。

聖書にも
何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりもすぐれた者と思いなさい。」(ピリピ2:3)
とある通りです。

科学がつきとめた「運のいい人」:中野 信子:サンマーク出版」にも、「運のいい人は他人をほめるのが上手です」とあります。運の良い人は、「すごいな」「すばらしい」と思ったことを素直に相手に伝えるのだそうです。

一般社団法人・日本ほめる達人協会によると、褒める事は3Sだと言われています。「すごい」「さすが」「すばらしい」の3Sですね。さらに女性に対しては「すてき」を+1すると良いといわれています(笑)。

いやー女性だけじゃなくて、異性から「すてき」なんて言われたら、私も舞い上がっちゃいますけどねw

良く「飴とムチ」などと言いますが、「褒めて伸ばす」ことと「叱って伸ばす」ことのどちらが良いか・・・みなさんは、どう思われますか?

先の本で、児童をA、B2つのグループに分けた次のような実験を、中野さんが紹介してくれています。

Aに対してはグループ中の勉強が出来る優秀な子だけを褒めて、出来ない子を叱ります。Bに対しては優秀な子を褒めるだけでなく、出来ない子もそれなりに褒めます(XXくんは勉強は苦手だけど絵は上手だね・・等)。

その結果、Bグループの児童の方が結果的に伸び伸びと活動をしたそうです。

Aグループの子は「自分が褒めてもらえるのは勉強ができるからだ。もしも勉強ができなくなったら、厳しく叱られる」という恐怖により萎縮し、Bグループの子は「勉強が出来なくても、ちゃんと認めてもらえる」という安心感を持てたことが、その差になったと考えられています。

会社でも売り上げに貢献する社員だけを褒め、そうでない人をボロクソに言っていると、社員全体が萎縮してしまい、本来の力を発揮できないとは考えられないでしょうか?。全ての社員に価値があると認め、全員が活躍できるように配慮できる経営者の会社は、より高いパフォーマンスが得られるわけです。

ここだけ見ると褒めて伸ばす事が良いように思いますが、「嫌われる勇気:岸見 一郎、古賀 史健:ダイアモンド社」には、より鋭い指摘が掲載されています。

嫌われる勇気の本によれば、「叱ってはいけない。だが上から見下したような褒め方ならば、褒めない方がよい」とあります。

例えば母親が、子供がお使いをした際に「よくできたね」と褒めますが、この言葉の背景には「能力のある人が、能力の無い人に下す評価」という上下関係の側面があると指摘します。

つまり能力のある人が、そうでないと思っている人を褒める事で、下と見なしている人をコントロールしたいという意図があると言うのです。

別の例で、わがままな夫が専業主婦の奥様に「何の稼ぎもないくせに」とか「誰のお陰でメシが食えていると思っているんだ」という場合も、稼ぎがある事を唯一絶対の価値と見なして上下の関係を作り、相手をコントロールしたいという意図がある、つまり母親が子供を褒める場合といっしょの意図が働いていると言うのです。

心理学者のアドラーによれば、「人は褒められることによって「自分には能力がない」という信念を形成する」といいます。

・・・え、逆でしょ?、褒められるからこそ伸びるのでは?って思っちゃいますが、褒められる事を喜ぶ気持ち=自分が相手より立場的に下である事を受け入れる事であり、褒められる事に依存すると、他人の価値観に合わせた生き方をせざるを得なくなるというのです。

逆説的ですが、「褒める事=相手をコントロールしたい思いがある事」だと考えると、あながち否定できません。

アドラーによれば、このような上下の関係ではなく、水平(対等)の関係を結ぶことが大切なのだといいます。つまり、お使いをしてくれた子供と母親は対等なのです。外で稼いでくる夫と家事をする妻は対等なのです。

だから、お使いをしてくれたから褒めるのではなく、対等の立場にある相手に「ありがとう」と感謝の言葉を言う。妻が家事をこなしてくれるお陰で夫が外で働ける事に思いを抱き「ありがとう」とか「うれしいよ」と言う。これが水平の関係に基づいた対処方法です。

水平(対等)の関係を壊すような褒め方や叱り方は好ましくないと言うわけす。なんか、目から鱗でズドーンと心に刺さりました

ここでも「自分と比べて上か下か」ではなく「相手を評価しない。自分と対等である」事に意識を向けることが大切だということなんですね。つまり、「褒める事の本当の意味は感謝する事と同意」でなければならず、「相手を評価するのではなく、受け入れる事」と考えられます。


何でもけなす人と何でもほめる人は、どちらも考えなしだ。

ベンジャミン・フランクリン:アメリカ政治家、学者


褒めるときは名指しし、批判するときは分野の不特定多数を批判しよう。

ウォーレン・バフェット:アメリカ大富豪、投資家


人を褒めるときは大きな声で、悪口を言うときには
より大きな声で

フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト:銀河英雄伝説の登場人物:田中 芳樹

ビッテンフェルト氏の言葉には、思わず吹き出しました(笑)。

そう考えると、「すごい」「さすが」「すばらしい」「すてき」の4Sには、どれも上下関係を築く意図が感じられませんよね。

私もこの4Sに、「ありがとう」「うれしいよ」「助かります」などの感謝の気持ちを加えて、上手に相手を褒めたいと思います

長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。


今日の学び:褒める事は感謝する事と同意。褒める時は相手を評価せず受け入れる
今日の箴言:

  • ベンジャミン・フランクリン:アメリカ政治家、学者
  • ウォーレン・バフェット:投資家、アメリカ大富豪
  • フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト:銀河英雄伝説の登場人物:田中 芳樹

今日の書籍:

  • 科学がつきとめた「運のいい人」:中野 信子(サンマーク出版)
  • 嫌われる勇気:岸見 一郎、古賀 史健(ダイアモンド社)

今日の写真:時代をちょっとだけ斬る 様
いつか書く:

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