こんにちは、MSLABOです。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
新しい年が始まりました。新年、正月といえば初夢。そして「今年こそは・・・」と夢(目標)を掲げる時ですよね(笑)。新年に「夢」は付き物のようです。
今日のポイント
夢が叶うと嬉しいの?
ところで、みなさんは昨年の年始めに立てた夢(目標)は、どのくらい実現できたでしょうか?。え、私?・・・・。一年前に書いた「今年の目標」とやらを読み返すと、ちょっと残念な感じになります(汗)。
何かを成し遂げたいと「夢」(目標)を持ち、そこに向かって努力する。それは素晴らしい事だと思います。
夢をもち努力するからこそ、自分の能力を向上させる事ができる。と言われれば、反論の余地はありませんし、正論のように思えるからです。
でも夢のために必死に努力すればするほど、目標に届かなかった時はガックリときますよね。そんな事はありませんか?。
あんなに頑張ったのに・・・、あんなに努力したのに・・・なぜなんだ!。ああ、やっぱり俺には無茶な目標だったのか。俺には才能なんて無かったんだ・・・と自己嫌悪になって落ち込みます。私の場合はコレですね(汗)。
それでは努力の成果が実って、みごと目標を達成した時はどうでしょうか?。
たとえば超難関校に合格して入学するとか、有名な大企業に就職するとか、憧れのハイクラスな彼氏・彼女ができたなど、・・・人により詳細は異なるでしょうが、要するに人生で高い目標を実現できた時です。
(画像URL:illust-AC 様:mono777 さん)
さぞかしヒャッホーな、例えようもない「人生で最高な気持ち」になるに違いない・・・と思っていたのですが、どうやらそうではなさそうです。
安富 歩さんの著書「生きる技法:安富 歩:青灯社」を読ませて頂きました。
安富さんは京都大学を卒業し、東京大学の教授にまでなられた方です。若くして、経済学の分野で非常に権威のある「日経・経済図書文化賞」を受賞されるほどの才能の持ち主です。
けれども京都大学に合格した時も、大きな賞を受賞した時も、(それを目標として死に物狂いで頑張ってきたはずなのに)いざ実現してみると「ヒャッホー」という高揚感は一瞬で、ホっと安堵するとともに、疲労コンパイしてしまったと告白されています。
その時の気持を安富さんは次のように書かれています。
「この賞をもらった時に私が感じたことは、ホッとした、だけでした。どんなに嬉しかろうと想像していたのですが、(中略)もうヘトヘトに疲れていたのです。」
安富さんは本の中で、友人の香港大学の先生の話題を取り上げ、その彼も同じことを言っていたと紹介されています。
香港大学に合格し、オックスフォード大学で博士号を取り、香港大学の先生になるという「人も羨むような成功」を収めていても、決して幸せの絶頂に留まる事はできない。
その一瞬だけホッとするけれど、すぐに不安になって、次は何をしなければいけないのだろうと考えてしまうというのです。
なんだか悲しくなりますよね・・・。
高い目標を掲げ、好きなこともせずに我慢し、努力し、ついに目標を達成したのに「幸せ」にはなれない。すぐさま不安に苛まれ、また新たな(より高い)目標を目指して走り始める。
まるで無限に続く輪の中を、ぐるぐるといつまでも走るネズミのようです。いけどもいけども、そこには幸せというゴールはありません。
(画像URL:一人暮らしまとめサイト 様)
自己否定の夢では幸せになれない
ある夢(目標)を描き、理想を掲げる時、普通は簡単に実現できるような事はあげませんよね。今の自分には少し難しい、少し遠い目標を掲げるはずです。
「今の自分には物足ならい所がある。今の自分では駄目だと思う」からこそ、「新しい自分になり、何か出来るようになって、それにより満たされた自分になりたい」と思い、高い目標を掲げます。
しかしそのような「自己否定」から出発した目標は、いくら叶えることができても「安心」も「幸せ」も与えてくれることはないと、安富さんは指摘をされます。
このような「自分を高めることに意欲的」な人は、「自分には欠けているものがある」と悩んでいる事が多いそうです。
そのような人は、幼いころに母親や周囲の人に「ありのままの自分」を受け入れてもらえた経験が不足しており、「何か褒められるような事をしなければ、自分には価値がない」という恐怖が、心を支配している。
だから自分は偉大な存在だという麻薬が切れたり、「頂点」ではなくなった瞬間、隠れていたものが即座に姿を現し、不安や罪悪感、恥辱感に苦しめられると言うのです。・・・ドキっ。私も痛いところを突かれました(汗)。
安富さんも、そんな不安や罪悪感にずいぶんと苦しみ、悩んだそうです。そしてついにある結論に行き着きます。それは
「幸運とは、手に入れるものではなく、感じるものである」
というものでした。
『すべての存在はそこにあるだけで宇宙に受け入れられているのです。そこに最大の価値があります。』
マザー・テレサ:修道女、ノーベル平和賞受賞者
夢を追いかけることについて、安富さんはこう書かれています。
「夢を見ないで何かを手に入れることは、極めて困難である。(しかし)夢を実現することそのものには、なんの意味もない」。またこうも書かれています。「夢を実現する過程で得られる副産物が、あなたの糧となる」。
私たちは夢だの目標だのというと、(当たり前ですが)結果を気にします。結果がでなければ意味がない。もっと言えば、結果のでないような夢には価値がないと考えてしまいます。
しかし、安富さんの行き着いた結論はそうではありませんでした。
夢は叶うことが大切なのではなく、そこを目指して日々努力を積み重ねていく過程が大切であり、その夢へと至る道にこそ意味があるというのです。
(画像URL:illust-AC 様:gensou さん)
つねに夢を描き、目標を追いかける人生は疲れます。結果を得られても、得られなくても、そこには「虚しさ」が待ち構えていそうです。
結果を手放し、今を楽しむ
それでは虚しさを感じずに、「夢を持って努力する事」と「幸せに生きる事」を両立するにはどうしたら良いのでしょうか?。
これに関し、「むなしさの正体:武田 双雲:朝日新聞出版」で、書道家として有名な武田さんが、面白いことを書かれています。
「むなしさを消す、割と簡単な方法は、期待をしないこと。」
すごい結論ですが、理にかなっています(笑)。
私たちは(結果を)期待するからこそ、失望します。最初から結果を期待していなければ、そもそも失望する事はありません。どんな結果になっても、あるがままの現実を受け取るだけです。
こう書くと「結果を期待して何が悪い」とか「結果を期待しないで、目標なんて立てられないだろう?」というお叱りの声が聞こえてきそうですが・・・(汗)、なにも「結果を期待する事」を否定しているわけではないのです。
そうではなく、要はバランスが大切だと言いたいのです。
(画像URL:illust-AC 様:フリーカットさん)
なぜなら、私たちは夢だの目標だのを考える時、どうしても期待が大きくなるあまり、思考が未来に偏ってしまいがちになるからです。
『人生で大切なことは、バランスです』
加藤 諦三:社会学者
「今は苦しくても、いつか幸せになるぞ」と未来に期待をかけ、今を感謝することや、今を楽しむ事が疎かになってしまいます。
あなたも目標を達成したら、数字をクリアしたら、この仕事が終わったら、きっと幸せになるに違いない・・・と思い、そのために「今、苦しいのはしょうがない」と考えてしまうことはありませんか?。
私は・・・あります(汗)。
これを武田さんは「未来に希望を託すことは悪いことではありませんが、そうなると、意識の上で未来よりも、いまの順位が下がります。ありもしない未来より、いまの方が価値が下というのは、論理的におかしいです」と指摘されているのです。
人は往々にして「山の上には何か幸せがあるんじゃないか」と思い、苦しい思いをして山頂を目指します。確かに山頂には素晴らしい景色が広がっているのでしょう。けれども幸福感はほんの一瞬だといいます。その一瞬のために、苦しい道のりが続くのです。
いちばん欲しいものを得たのに、その喜びは一瞬で、あとはずっと苦しいままというのは、じつに虚しいのではなか・・・・武田さんはそう書かれています。
だから、むなしくならないためには、「未来」に偏った期待をかけすぎず、ゆるやかにフワっとした感覚程度の期待に押さえておく。
その上で、山頂だけに幸せがあるのではなく、登山の途中にも幸せがあるのだと気がつく。登る途中に咲いている花に目を留め、おいしい空気を堪能し、湧き水に喉を潤す。誰よりも早く登ることに価値があるのではなく、マイペースで楽しんで登る事が大切。
武田さんはこれを「一点を目指すのではなく、分散的に生きる」と表現されていますが、別の言い方をすれば「未来一辺倒にならずに、今に感謝し、今を楽しみながら生きる」となるのかもしれません。
武田さんの書道教室には、字がうまく書けるようになりたいという人が沢山訪れます。書道教室ですから、当たり前ですね。
中には、有名な書道の先生に教えてもらうのだからと、納得できる書ができるまで何時間も繰り返し練習をし、頑張ろうとする人もみえるのだそうです。
それでも納得がいく書が書けずに、ついには武田さんに「どれだけ頑張ったら良いですか?」と聞かれるのだとか。
そんな人に、武田さんはこう答えるのだそうです。
「逆ですよ。頑張っちゃうと肩が凝るだけなので、頑張らないでください。リラックスして、楽しんで書いてください。」
武田さんにとって書道とは、ヨガの瞑想のようなものなのだそうです。あくまで自分と向き合う作業であり、それを極めようとか結果を出そうと力んでいないんですね。
「頑張ってもいいけど、頑張らないで、やってみるのもいい。そのぐらいのバランスで仕事や家事、習い事に向き合うのが、ちょうどいいと思います」と、武田さんは書かれています。
『がんばり過ぎちゃだめだよ。自分が追い込まれてしまうよ。でも、絶対に諦めちゃだめ。諦めた瞬間に、幸福の種が飛んで行ってしまうから。』
さだ まさし:シンガーソングライター
夢を持ち、目標を立てることは素晴らしい事です。
でも結果を期待しすぎると疲れちゃいます(笑)。緩やかに、のんびりと目標を目指しながら、そこに向けての道のりを楽しんでいくのが良さそうです。
ついつい結果ばかりを追い求めて、行き着く前に疲れてしまいがちな私には、肝に銘じたい事です。
今年もそんな「ゆるやかで、楽しい一年」にしたいなぁと、あらためて学ばせていただきました。
Myオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたにも良きことが沢山起きますように。
今日の学び:ゆっくり楽しんで行こう
今日の箴言:
●マザー・テレサ:修道女、ノーベル平和賞受賞者
● 加藤 諦三:社会学者
● さだ まさし:シンガーソングライター
今日の書籍:
●生きる技法:安富 歩:青灯社
● むなしさの正体:武田 双雲:朝日新聞出版
今日の写真:illust-AC 様:がらくったさん