こんにちは、MSLABOです。
最近、なんだかギスギスした世の中になっている気がします。マイルドさが無いというか「やさしさ」が欠けている気がするのです。
今日のポイント
それは「やさしい」人?
昔に比べて、なにかとコンプライアンスだの常識だのが叫ばれている気がします。
これはルールだから・・・と「正しさ」を振りかざし、実はリスクを過剰に恐れている人や企業が多くなったように思うのです。
「やさしくないなぁ」と思ってしまいますが、それでは「やさしさ」っていったい何なのでしょうか?。
たとえば、私たちは「やさしい人」と聞くと
- いつも周りに気を使っている人
- 困っている人を助けてあげる人
- 言葉遣いや態度が丁寧な人
- 辛い時に相談にのってくれる人
- 控えめでおとなしい人
を思い浮かべます。
ではこのような人は、本当に「やさしい人」なのでしょうか?。
世の中には上記のような態度をとる人でも、ちっとも「やさしくない人」がいます。
- (人に嫌われるのが嫌なので)いつも周りに気を使っている人
- (称賛されたいので)他人を助ける人
- (相手に良い印象をあたえ、利用したいので)言葉遣いが丁寧な人
- (相手の弱みを握り、優越感に浸りたいので)相談にのる人
- (自分を悪く思われたくないので)控えめでおとなしくしている人
・・・・どうでしょうか?。
やたらと丁寧な言葉遣いだけど、良く聞いてみると商品販売や勧誘の電話だった。職場や学校で失敗した同僚や友達の話を聞いて、「それは大変だね」と言いながら心の中で思わずニヤニヤしてしまった。
誰にでも1度や2度は経験がある事だと思います。すこし意地悪な見方かもしれませんが、このような人や態度は「やさしい」とは言えませんよね。
私たちは「やさしさ」と聞くと、ついつい「行動や結果」に注目してしまいます。でも上記で書いたように「やさしい」かどうかは行動では判別できません。
やさしさは「行動」ではなく、「心」の問題だからです。
やさしくない人
それでは「やさしさ」とは何でしょうか?。
「やさしさ」を考えるにあたり、その逆の「やさしくない事、冷たい事」を考えると理解が深まりそうです。
「やさしい人:加藤 諦三:株式会社PHP研究所」を読ませて頂きましたが、この本には様々な「やさしくない人」の例が登場します。
本に登場する「やさしくない人=冷たい人」の例をいくつか挙げてみましょう。
いつも心に、怒りや不満を持っている人
冷たい人は、「世の中はバカばっかりだ」とか「世の中理不尽だ」という感情をもって暮らしているといいます。「自分は、いつも我慢をして生きている」という意識が強く働いています。
だからちょっとした事でも、ツンケンしてしまいます。
いますよね、こんな人。マナーがわるいとか、政治が悪いとか、俺がこんなに苦労しているのに・・・といつもしかめっ面をしている人。
(画像URL:illust-AC 様:Shrimpgraphicさん)
このような人はいつも不満を抱えて暮らしているので、ちょっとした刺激に過剰に反応してしまいます。だから、自分とは異なる考え方や意見を受け入れる心の「ゆとり」がありません。
ネットで辛辣な批判やコメントを書き込んで炎上させたり、大げさに「正義や平和」を唱える人も、この分類に入りそうです。
認めてくれと強く思う人
冷たい人は「どうして、誰も自分のことをわかってくれないのか」と不満をもっているといいます。誰かから認められたいという思いが強く、自分に強いコンプレックスを持っています。
だから認められるために資格や地位、収入、学歴、ブランド品など、目に見えるステータスに強くコダワります。権威主義者になります。誰もが認めてくれるものを持つことで、他人から称賛される事を期待してしまうのです。
(画像URL:illust-AC 様:筒井よしほさん)
目立ったり関心を引くために、大げさな態度をとったり騒ぐのが好きです。できそうにもない事を「大したことない。俺なら簡単に出来る」などと言ったりします。
他人が認められる事が悔しいので、他人の成功を素直に喜ぶことができません。「なんだよそれくらい、俺でもできるよ」とか「何かヤマシイ事をしたに違いない」と卑屈になります。
私も一生懸命書いた資料を「あ、そう」なんて態度で受け取られるとカチンとくる方です。これも「俺があんなに努力したのに」と、人に認められたいと思っている証拠なのでしょうね・・・(汗)。
人を思い通りにしたい人
自分の思い通りにならないと、泣いたり、ワメいたり、怒る人。スネたり、意地悪をする人。わざと心にもない態度をとる人。
言うことをきかない子供や他人に、命令口調で「俺の言うことを聞け」と怒鳴る人。「XXXしないと、今に大変なことになりますよ」と脅す人。
心理学者のアドラーによれば、怒りは相手を自分の思い通りにしたい、操りたいという手段なのだそうです。
奥様や旦那様がこのタイプで苦労している人も多いのではないでしょうか?(汗)。
(画像URL:illust-AC 様:なのなのなさん)
そこまで極端じゃなくても、なにかにつけて苦労話や自慢話をするのが好きで、「どうだ、凄いだろ?」と同情してほしいという空気を出す人も、この分類に入りそうです。
夜の居酒屋などで良く見かけますよね・・・。
人の目を気にしすぎる人
妙にオドオドしていたり、自分の気持ちをハッキリさせない人。誰かに非難されないか、バカにされないかと気にしすぎる人。
このような人は嫌われるのが怖いので、いつも本心を隠しています。頼まれごとを断れず、面倒な仕事を押し付けられて、人に尽くすタイプになりがちです。
人に認められるために必死に我慢して努力しますが、そんな気持ちを理解してもらえないと、裏切られたという思いでひどく傷つきます。
(画像URL:illust-AC 様:シグ子さん)
ぐふ・・・私も痛いところを突かれました・・・。
こうして見てみると、やさしくない人とは
- 自分の事や、世の中が好きじゃない人
- 自分のことしか考えていない人
- 誰かに認められたい褒められたいと、いつも気にしている人
- 我慢をし、心に怒りや不満を抱えている人
だと気が付きます。
やさしい人になるには
このような冷たい人について、加藤さんは次のように書かれています。
「やさしくなければ、世界一の権力を握っても世界一の大金持ちになっても、幸せにはなれない」
またこうも書かれています。
「幸せになるためには、社会的に成功するための努力をするよりも、やさしい人になる努力をするほうがはるかに有効である」
それでは「冷たい人」から「やさしい人」に変わるには、どうしたら良いのでしょうか?。
ちょっとした日常に満足する
あれが足りない、これが欲しいという思いを手離し、「いままのままでも、そこそこ幸せ」と、現状を受け入れる事です。
「今が満たされている」事に気がつく方法の1つとして、自己啓発ではよく言われることですが、1日の終わり(寝る前)にその日にあった良いことを挙げる習慣があります。
- 今日は久しぶりに晴れて爽やかだった
- 買物をした店の店員が可愛いかった(カッコよかった)
- いつもウルサイ部長が出張でいなかった(笑)
『物事をあるがままの姿で受け入れよ。起こったことを受け入れることが、不幸な結果を克服する第一歩である』
ウィリアム・ジェームズ:哲学者、心理学者
どんな小さな事でも良いので、その日にあった「良かった事」を見つけます。そうすると面白くなさそうに思えた日常の中にも、ちょっとした良い事が沢山ある事に気が付きます。
なにもできない自分でも幸せはつかめると信じる
加藤さんは著書の中で精神科医アーロン・ベックの言葉を引用し、「うつ病の人は、自分に欠けているものが自分の幸せの条件だと思う」と書かれています。
ドキッ・・・鋭い指摘です。
私も今できない何かが出来るようになったり、能力を得ることが幸せになるための必須条件だと思っていました。
そうではなく、ありのままの自分で良いのだと受け入れる事が大切だというのです。欠点も長所も、イケてる所もダメな所も、全部ひっくるめて自分でよかったと思うのです。
『人を信じよ、しかし、その百倍も自らを信じよ。』
手塚 治虫:漫画家
私のように自信が無くてすぐに「自分はダメだ」と思うような人は、心が落ち込むたびに繰り返し「自分は大丈夫」「自分は素晴らしい」「自分は愛されている」と思い直すのが効果的です。
自分が好きなものを見つける
我慢や忍耐は大切です。でも度が過ぎると、心が疲弊してしまいます。特に人の目を気にして「人に合わせる」事が日常となっている人は要注意です。
そういう人は5分でもいいので、毎日「自分の好きな事をする時間」を設けると良いといいます。「これをしていると幸せ」というものを持つわけです。
ポイントは他人と比べない事です。
他人は他人、自分は自分。他人からどう思われようが、称賛されることが無くても、法律に触れるようなことではないなら好きにするという事です。
『人の目を気にして生きるなんてくだらない事さ。』
忌野 清志郎:ロックミュージシャン
またいろいろな事を「自分で決める」ことも大切です。「本当はAが良いけど、みんながBが良いというから、Bにしよう・・・」という態度を、いつも繰り返していてはいけません。
自分の気持ちを大切にしないと、自分を愛することは難しくなります。
疲れる人や環境から距離をおく
最終手段はコレです(笑)。嫌な人、嫌いな事、苦手なものから距離を置きます。
職場や家庭などに「イヤ」な事がある場合、なかなか距離を置くのが難しい場合もありますが、嫌な人や嫌な事に巻き込まれて、自分が壊れてしまう前に距離をおきましょう。
『人から傷つけられたらどうしよう。その人を愛しているなら、やさしくしてあげよう。そうでない人なら、距離を置こう』
ナンシー・ウッド:作家
加藤さんは、心が疲れている人、冷たい人ほど「類は友を呼ぶ」式で、同類の人がたくさんいる環境に身を置いてしまうと書かれています。
「こんな自分だから、こんな場所でもしかたがない」と自分を低く見てしまうのです。
心が疲れている人には「やさしさ」が必要です。ホッとする一時が必要です。本物のやさしさに触れて心に元気を取り戻さないと、他人にも自分にもやさしくなどなれません。
身近にイヤな環境があって、なかなか簡単に離れられないという人は、秋の天気が良い日に、風邪を引かないように少し暖かい格好をして、郊外へと出かけてみては如何でしょうか?。
澄んだ青い空、流れる雲、風にそよぐ花、満点に輝く星。自然は疲れた心を癒やしてくれます。
こうして考えてみると、やさしさとは
- 自分の境遇や過去を受け入れる事
- ありのままの自分を好きになる事。許してあげる事
- 自分の気持ちは自分で大切にする事
- 他人からの称賛を得るためではなく、自分のために行動する事
- そうして出来た心ゆとりで、ムリをせずに自分と周りを大切にできる事
だと言えそうです。
やさしさって「外」に向かうものではなく、自分の「内」に向かうものだったんですね。
わたしも自分を愛し、心にゆとりを持った「やさしい」人にならなければと思わせて頂きました。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:やさしさは幸せの基本
今日の箴言:
ウィリアム・ジェームズ:哲学者、心理学者
手塚 治虫:漫画家
忌野 清志郎:ロックミュージシャン
ナンシー・ウッド(作家)
今日の書籍:やさしい人:加藤 諦三:株式会社PHP研究所
今日の写真:photo-AC 様:acworksさん