こんにちは、MSLABOです。
夢や目標に向かって努力する。能力を身につけて成長する。人に迷惑をかけてはいけない。私たちは小さな頃から、そう教えられてきました。でもこれらは、本当に美徳なのでしょうか?。
今日のポイント
なぜ我慢して頑張るのか?
私たちは常に「できる人。役に立つ人」になる事を求められます。会社などでは特に顕著ですよね。ブラプラしていて業績もサッパリな人は、その会社の「お荷物」であり「厄介者」です。
一定の役割を果たすことが求められるのは、会社ばかりとは限りません。家庭でも学校でも、およそ社会と名のつく世界では、「できる人、役に立つ人」である事が求められます。
そもそも、私たちはなぜ「苦しくても頑張る」のでしょうか?。歯を食いしばり、苦痛に耐えてでも成長して、役に立つ人間であろうとするのは何故なのでしょう?。
いろいろな理由が考えられますが、それは「他人から認められるため。必要とされるため」ではないかと思うのです。
人間には虎のような鋭い牙も、クマのような厚い毛皮も、馬のような速い足もありません。他の動物と比べると、肉体的には弱い存在なのです。だから原始時代より集団で生活をして、お互いが支え合う事で身を守ってきました。
別の言い方をすれば、集団から邪魔者扱いされると、その人は生きていけない。
(画像URL:illust-AC 様:R&M さん)
邪魔者扱いされない為には、人に迷惑をかけず、能力を高め、他人から認めらてもらう必要があったのです。
『私たちは誰でも、人に認められたいと思っている。逆の言い方をすれば、私たちにとって人からまったく認められない、ということほどつらいものはない。』
植西 聰:心理カウンセラー
インターネットが発達し、様々な社会制度が整備されて、1人になっても簡単に死んでしまう事が無くなった現代社会においても、「孤独は死」という思いが、私達に「他人から必要とされること=成長(努力)」に向かわせているのではないかと思うのです。
頑張る事の落とし穴
では、努力して頑張って「人の役に立つ人」になった先には何があるのでしょう?。周囲の人に評価されて、認められ、安心できる「約束された生」が待っているのでしょうか?。
残念ながら、そうではないようです。
頑張って努力して「認められる」ようになった事で、ある程度の「評価」は得られるでしょう。そうする事で少しばかり「安心」する事ができるかもしれません。
でもそんな安心は長続きしないのです。
頑張って苦労した先には、さらなる頑張りへの要求と、さらなる苦労が待っている・・・。どうやら、これが現実のようです。
え、そんな事は無いぞと思いますか?。では、こんなケースを考えてみましょう。
あなたに部下(X君)がいるとします。新人のX君は仕事があまりできません。「頑張れ!、努力しろ」。あなたはそう命じます。X君は命令に従って頑張り、新人とは思えないほど良い成績をおさめました。
「お、やれば出来るじゃないか」。あなたはきっと喜ぶ事だと思います。彼を誉めるかもしれません。
では、彼はもう成長しなくても良いのでしょうか?。
成長して2年目になったX君に「君は昨年しっかり頑張って2年目にも負けない能力を身につけたようだね。だから今年は遊んでいて良いよ」といいますか?。
言いませんよね(笑)。きっとこう言う筈です。「お前には見込みがある。この調子で頑張れば、もっと伸びる。昨年の自分に負けないように、今年も頑張りなさい」・・・・。
(画像URL:illust-AC 様:ヤスフミ さん)
また「能力を身につけ、それを武器にする」事は、こうも言い換えられます。
「今の自分には能力が足りない。大したことができない。ダメな自分を卒業し、優秀な自分にならないといけない。そうしないと他人に必要とされずに、生きていけない」。
こういう思いで努力をする人は、自分を否定する事から出発をしています。「能力のない自分(人から認められない自分)」から「能力のある自分(人から認められる自分)」に移行しようとしているのです。
このような人は、残念ながらどこまでいっても「満足」する事はありません。幸せを感じ、心にゆとりを覚えることはないのです。
なぜなら「満足」の基準が「他人から認められること」であり、「人任せ」だからです。
どんなに頑張っても、他人が自分を認めてくれる保障はありません。努力=他人の評価ではないのです。
こんな話があります。
ある男は美味しいコーヒーにコダワリを持っていました。世界中のどんなコーヒーよりも、美味しいコーヒーをいれたい。人々にうまい!と言わせたい。
本当にうまいコーヒーは、何も足さなくても旨くあるべきだ。優れた豆を手に入れ、その旨さをあますところなく引き出して、究極の1杯をいれよう。
男はコーヒー豆の抽出方法を研究するだけではなく、世界中を旅して彼を満足させるコーヒー豆を探しました。来る日も来る日もコーヒー豆を探しますが、どうしても満足いく豆が見つかりません。
ついに男は、この世のものではないコーヒー豆のうわさ話を耳にします。それは天国にあるというコーヒー豆でした。伝説のコーヒー豆。この世のコーヒー豆を超越するもの。
男は決断します。天国のコーヒー豆を手に入れて、天国の住人にうまいと言わせるコーヒーを作ろう!。
彼は自ら死を選ぶと、いそいそと天国に出かけ、ついに伝説のコーヒー豆を手に入れます。そして究極のコーヒーをいれるのです。
ニヤリと満足の笑みを浮かべた彼は、そのコーヒーを神様に差し出します。うまい!、素晴らしい!、お前は天才だ!。きっとそう言われるに違いない。
(画像URL:photo-AC 様:acworksさん)
ところがコーヒーを一口飲んだ神様はこう言いました。「ところで、コーヒーに入れるミルクはあるかね?」。
幸せを人任せにしない
認められることを他人任せにしていると、どのような事になるのか?。上記の寓話でも理解できるのではないでしょうか?。
では、私たちはどうしたら良いのでしょうか?。
心理カウンセラーとして活躍されている心屋さんはその著書「がんばらない成長論:心屋 仁之助:株式会社 学研プラス」でこう述べています。
「向上心など捨ててしまえ」。
なんとも破天荒な意見です(笑)。心屋さんは、その理由をこう書かれています。「自己否定をしている限り成長はできない」。
またこうも書かれています。「結果をみて自分を肯定するのではなく、現状の自分を先にすばらしいと肯定してみると、それに見合うすばらしい現実が、あとから登場する」。
幸せは努力をし、結果を積み上げた先にあるわけではありません。
X君の例のように、努力した先には、もっと努力を強いられる現実が待っているのです。また寓話の男のように、努力が他人の評価に結びつくわけでもありません。
だから「評価」の基準を「他人から認めてもらう事」から「自分で自分を認める事」に切り替えるのです。誰も認めてくれなくても、自分が良いと思えばそれでOK。これが自分で自分を認める事です。
他人の目を気にして生きるのではなく、自分の好き嫌いを基準にして生きる。他人に認められるために生きるのではなく、自分が幸せや楽しさを感じるために生きる。自分の人生は自分だけのものです。
自分の好き嫌いを優先するなどというと、ワガママだとか自己中心的だという人がいます。しかし心屋さんは、これについて次のように書かれています。
「自分が自分の好き嫌いを優先しないで、いったい誰が自分の好き嫌いを気にしてくれるのでしょう?」。
『(人にあれこれ言われて)がまんしていると、(あれこれ)言う側になってしまう。』
東海林 のり子:テレビレポーター
成長は「足し算」ではないと心屋さんは書かれます。
- がんばって伸びる事
- 進化する事
- 逆境を乗り越える事
- 今できないことが、できるようになる事
- 知らないことを知る事
- 今の自分に価値をプラスする事
こんな事が成長だと私たちは考えています。つまり足し算の成長です。
でも成長は足し算ではありません。成長とは、今の自分を受け入れることであり、ありのままの自分で良いと思うことなのです。
道端に咲く雑草は、放っておいても成長します。肥料や水をあげなくても、どんどん伸びます。逆においしい実をつけるように、沢山みのるようにと改良された品種は、少しでも環境が厳しいとすぐに枯れてしまいます。
人間も、本来は自然界で暮らす野生動物です。雑草なのです。
(画像URL:illust-AC 様:non さん)
だから特別な能力など身につけなくとも、生きる力を内在しています。
「より強くなろう。より優秀で、より役に立つ人間になろう」と改良すると、社会(農夫)にとっては都合が良い人間になっても、かえって弱くなる面があるのです。
そんな事をしなくとも、自分の「好き」や「楽しい」気持ちに素直になって、どんどん好きなことだけをやっていれば、自然に成長をしてしまう。心屋さんは本の中で、そう述べられています。
『生きてるだけでまるもうけ』
明石家 さんま:お笑いタレント
さて、あなたはどうしますか?。
明日からも歯を食いしばり、我慢をして、他人の評価に怯えながら生きるのでしょうか?。それとも自分の好きを優先して、心軽く生きるのでしょうか?。
直ぐに思い通りできるわけではありません。でも、私は自分が楽しい方がいい。だから全力で後者の人生を歩み始めています。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:幸せを人任せにするな!
今日の箴言:
植西 聰:心理カウンセラー
東海林 のり子:テレビレポーター
明石家 さんま:お笑いタレント
今日の書籍:がんばらない成長論:心屋 仁之助:株式会社 学研プラス
今日の写真:photo-AC 様:acworksさん