こんにちは、MSLABOです。
みなさんは「走れメロス」の話をご存じですか?。太宰 治の短編小説で、教科書にも載っていますしミュージカルやアニメにもなっているようですから、きっとご存じですよね。今日Webを見ていたら「「走れメロス」は走っていなかった」事を中学生が自由研究で明らかにしたという記事があったので、読んでみました。
簡単に「走れメロス」の「あらすじ」をおさらいしておくと
- メロスは近々結婚する妹のため、シラクス市に買い物に訪れた。
- シラクス市には人を信じる事ができないデイオニス王が住んでいた。
- デイオニス王は人を信じられぬ余り暴君となり多くの家臣や国民を殺した。
- 暴君の噂を聞きつけた正義感の強いメロスは、王宮へ向かうが捕まってしまう。
- 王はメロスを処刑しようとする。
- メロスは王に、妹の結婚式に参加するため処刑まで3日間の猶予が欲しい。妹の結婚式が終わったら、ここへ戻ってくると申し出た。
- 疑い深いデイオニス王は、メロスの親友セリヌンテイウスをメロスの身代わりの人質に取り、3日後に戻らなければ親友を殺すと言った。
- メロスは妹の結婚式へ出かけ、そして3日後に親友のために見事戻ってきた。
- デイオニス王はメロスの行動に感心し、セリヌンテイウス共々許した。
こんな感じだったと思います。
さて、一般財団法人 理数教育研究所が開催した「算数・数学の自由研究」作品コンクールで中学2年生の村田 一真くんは、なんとメロスが走っていなかった事を明らかにしました。村田くんは小説を丹念に読み
- 王から言い渡された3日間の猶予のうち、メロスが走ったのは初日と最終日だった
- シラクス市から妹の村までは10里(約39キロ)の道のりだった
- メロスがシラクス市を出発したのは「初夏、満天の星」の時刻だった
- 同じく妹のいる村に着いたのは「日は既に高く昇って」いて「村人たちは野に出て仕事を始めていた」時刻だった
などの記述から、移動距離と移動時間を算出したのだそうです(眼の付け所が面白いですよねw。きっと彼は優秀な科学者になるかもしれません)。
その結果、往路の平均速度は時速3.9キロ、復路ではメロスが様々なトラブルに見舞われたので計測が難しいものの、時速2.7キロから時速5.3キロになる事をつきとめました。
ちなみに現代人の歩行速度は毎分約80メートル(時速4.8キロ)〜90メートル(時速5.4キロ)と言われていますから、メロスの時代の道路が舗装されていなかった事を勘案しても、時速2.7キロから時速5.3キロでは、とても走っていたとは思えない速度というわけです。せいぜい早歩き程度でしょうか?(笑)。
一方、シラクス市ではメロスの代わりに親友セリヌンテイウスが捉えられており、メロスが戻らなければ処刑されてしまうのです。絶対に時間通り戻らなければいけないというのに、せいぜい早歩き程度でしか移動しないメロスの余裕は、どこから来ていたのでしょうか?。
なんか、友情に厚い勇者メロスのイメージが、ガラガラと音を立てて崩れていきそうです(汗)。村田くんは言います。「『走れメロス』というタイトルは、『走れよメロス』のほうが合っているなと思いました」と。かなり笑えました。
ちなみに物語の舞台となるシラクス市は、イタリアのシチリア地方にあるシラクサの事で、古代ギリシャの植民都市シュラクサイに起源を持つ都市と言われています。
シュラクサイは、残虐で猜疑心が強く執念深い暴君のディオニュシオス1世(紀元前432年頃- 紀元前367年)が統治していた歴史があり、この王がメロス物語の暴君のモデルになったと言われています。
走れメロスの話はアニメにもなっています。
アニメの中では、メロスが3日間猶予を与えられる条件として、メロスの身代わりとなる人間を探すシーンがあります。身代わりがいなければ、メロスは3日間の猶予さえもらえないのです。
最初は長期間牢屋に閉じ込められている囚人から、次は正義と市民の代表である議員たちから、身代わりを捜します。
ところが「メロスを信じて3日間身代わりになれば囚人なら無罪放免、議員なら褒美を取らせるが、もしメロスが戻らなければ代わりに処刑する」という王の言葉に、誰も身代わりを申しでません。
そして、絶望するメロスに、たった1度だけメロスと酒を酌み交わしただけのセリヌンテイウスが身代わりになる事を申し出るのです。
その時、セリヌンテイウスが囚人や議員を見渡した後にメロスに言った言葉がコレです。
「気にするな、こいつらは自分が信じられないのだ」
セリヌンテイウス、かっちょいいです!。
さて混乱してきました。メロスは何故走らなかったのか、セリヌンテイウスは何故メロスを信じたのか?・・・・ここは偉人達の言葉にヒントを探しましょう。
『人から信頼される人は、人を信頼する心の強い人である。』
木原 武一:評論家
『人を信じよ、しかし、その百倍も自らを信じよ。』
手塚治虫:漫画家
『根本的な才能とは、自分に何かが出来ると信じることである。』
ジョン・ウィンストン・オノ・レノン:ミュージシャン
偉人達は信じる事の大切さを説きます。
特に人を信じる以上に自分自身を信じる事を。自己啓発家として有名なジェームズ・アレンは名著「「原因」と「結果」の法則:ジェームズ・アレン:サンマーク出版」で次のように書いています。
『人間を目標に向かわせるパワーは「自分はそれを達成できる」という信念から生まれます。疑いや恐れは、その信念にとって最大の敵です』
セリヌンテイウスはメロスを信じる強さだけでなく、実は自分自身を信じる強さを持っていた。いや自分自身を信じたかったとは考えられないでしょうか?。
またメロスが村田くんの指摘のように走らずに歩いていた理由は、もしかしたら「俺は何があっても、必ず3日以内に戻る」という強い信念、自分の行動を信じた結果だったのかもしれません。
信じる事は人のためではなく自分の為であるのだと感じさせられました。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び: 信じる事は自らを強くし、才能を育てる力である
今日の箴言:
- 木原 武一:評論家
- 手塚治虫:漫画家
- ジョン・ウィンストン・オノ・レノン:ミュージシャン
今日の書籍:
- 走れメロス:太宰 治:(角川つばさ文庫)
- 「原因」と「結果」の法則:ジェームズ・アレン(サンマーク出版)
今日の写真:角川つばさ文庫様
いつか書く: