こんにちは、MSLABOです。
前回「仕事とやりがい(その1)」では、おかしな社会常識という概念を通して、働く事について考えてみました。仕事=やりがい、仕事=成長という考えに潜む罠とは何でしょうか?。さらに考えていきたいと思います。
『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。:日野 瑛太郎:東洋経済』で、日野さんは「仕事=やりがい」という考え方の危険な側面を挙げて、そのような洗脳が小学校の頃から行われていると警告します。
例えば小学校の「将来の夢」なんて作文に、「大きくなったらパイロットになりたい」とか「美容師になりたい」と書く子は褒められます。でも「将来は毎日ゴロゴロして暮らしたい」とか「女の子にモテモテでチヤホヤされたい」と書くと、「けしからん!」なんて事になると指摘しています。面白いですよね。
「女の子にモテモテでチヤホヤされたい」だって「ゴロゴロして生活をしたい」だって、立派な将来の夢な筈なのに、パイロットや美容師などの具体的な夢でないと拒絶される訳です。
よくよく考えればわかりますが、パイロットだってゴロゴロします。美容師でも、チヤホヤされるカリスマ美容師さんは沢山見えます(笑)。
なのに自らの欲求を素直に表現すると怒られる・・・。
そこには、夢は具体的な職業でなければいけないという暗黙の圧力があるのだと日野さんは言います。夢=職業=仕事 という図式に当てはめさせたいという圧力です。
大人は、子ども達が「現在大人が知っている範囲の中での」具体的な将来像を描いていることに、安心したいのかもしれません。そうする事で子ども達が、いつまでも自分たちの手の中にいると錯覚したいのかもしれませんね。
私だって自分の子供に「将来はゴロゴロ怠惰な生活をしたい」と言われたら、ちょっとビックリしますから(汗)。
しかし、こんな話もあります。
米国デューク大学の研究者キャシー・デビッドソン氏は、『2011 年度に米国の小学校に入学した子どもたちの 65% は、将来、今はまだ存在していない未知の職業に就くことになるだろう』と予測している・・・・。
つまり未来は誰にも解らないのです。
そして未来を生きる子ども達が、今の大人達が理解できる職業についている保証など、どこにもありません。だから「将来はゴロゴロ怠惰な生活をしたい」も立派な夢であり、要は「そうなれるように、いかに工夫するか」がポイントなのではないかと思います。
ですから、子ども達に将来の夢がゴロゴロする事だと言われたら、「そうか、じゃぁどうしたら毎日ゴロゴロした生活ができるか、一緒に考えようね」って返してあげれば良いのではないでしょうか?。
大人の私たちが想像も出来ないような職業や方法が、子ども達の未来に待っているかもしれません。
日野さんは先述の本の中で、次のような面白い図式を書かれています。
(絵をクリックすると大きくなります)
つまり、やりがいが多いと幸せ、少ないと不幸という二極的な考え方ではなく、労働時間と収入のマトリクスで考えるべきだという事です。私はこの絵をちょっと加工してRPG風にしてみました(笑)。
賢者に成り代わり、この世界を道案内しましょう・・・w
ふぉふぉふぉ・・・お若いの。ワシはこの世界をくまなく見て歩いてきたジジイじゃ。なになに、この世界の姿を知りたいじゃと・・・ふむ。よろしい。では、この地図を見るが良かろう・・・。(絵をクリックすると大きくなります)
冒険者のおぬしは今「始まりの村」におる。地図の一番下じゃな。
ここからは黒の国か修羅の国へ行く事が出来る。一部の優秀な冒険者だけには、いきなり富の国へのパスポートが与えられるという話もあるが、それはほんの一部の者たちに限った話じゃ。変な期待はしてはいかんぞ。多くの者は黒の国か修羅の国へ行くしかないのじゃから。
「黒の国」は「シャチーク」と呼ばれる者たちが暮らす過酷な奴隷労働の国じゃ。生命は保証されるものの、来る日も来る日も辛い労働と搾取の毎日が待っておる。
黒の国の斜め上には、みながあこがれる富の国があるが、「高い山脈」が行く手を阻み誰も超えることは出来ん。世の中上手くいかんと言う訳じゃな。伝説によれば、はるか昔、空飛ぶ馬にまたがった少女が山脈を超えたとか超えないとか・・・じゃが、しょせん夢物語じゃよ。
黒の国から東にある「修羅の国」は戦場の国じゃ。黒の国と修羅の国の行き来は比較的ラクなのじゃがのう・・・。
修羅の国には「モーレツ」と呼ばれる屈強の戦士が暮らしておる。食料も多い代わりに、強者だけが生き残ることが許される場所で、敵はモンスターなどではなく同じ冒険者同士じゃ。恐ろしいことじゃて。果てしないPKが繰り返されておる。
修羅の国の南東には恐ろしい「底なし沼」が口を開けておってな。一度踏み込んだが最後、二度と浮かび上がれない死の沼で、ウツ鬱ウツと音を立てた不気味な泡が浮かび上がっておる。食料を得ることに夢中になりすぎて、ゆめゆめ近づいてはならんぞ。
修羅の国の北には富の国があるが、そこへ行くには「血塗りの坂」を登らなくてはいかん。血塗りの坂は、お互い殺し合った冒険者の血で真っ赤に染まっていることからこの名前が付いたと言われており、そこを登り切った者は富の国に行ける代わりに、精神に異常をきたすとも言われておる。せっかく坂を登っても、気が触れてしまっては意味がないのじゃがのう・・。
黒の国の北には荒野の国があって、そこへ行くには「暗闇谷」を超える必要がある。真っ暗で闇に吸い込まれるような感覚を覚える谷は、冒険者をひどい恐怖に陥れるため、シャチークやモーレツ共は怖がって近寄らない。しかもこの谷は、年老いた冒険者ほど恐怖心が増すと言われおる。
勇気を出して谷を抜けると、そこは貧しい「荒野の国」じゃ。誰にも搾取されない代わりに食料が乏しく、常におなかをすかせた「ニトー」や「フゥーリタ」と呼ばれる物乞い達が住んでおる。
この国の西北には「悪の教会」が建っておって、甘い言葉と誘惑で冒険者を惑わし、二度とこの世界に戻れない闇の世界へと魂を奪い去ると言われておるのう。この悪の教会の使徒どもは世界中に散らばっていて、つねに堕落の道へと冒険者を誘い込むため虎視眈々と活動しておるから、どの国にいてもオヌシに甘い言葉を投げかけてくる者がいたら、決して誘いに乗ってはいかんぞ。
さて、荒野の国の東には富の国があるわけじゃが、荒野の国からそこへ行くには「勇者の洞窟」と呼ばれる薄暗い洞窟を抜ける必要がある。勇者の洞窟では戦闘能力以上に「真の知恵と勇気が試される」といわれておってのう。
洞窟の奥にある「幸運の女神のペンダント」を手に入れた者だけが富の国へと行けるという言い伝えがあるのじゃ。
もっとも洞窟のあちらこちらには、死へと誘う底なし沼や、黒の国、修羅の国、荒野の国へと冒険者を転送してしまうワープポイントなどの罠があって、くねくねと曲がりくねった道が複雑に枝分かれしていて冒険者を惑わすのじゃ。
ワシが聞いたところでは、「正しい道」は「じつは真っ直ぐ1本道」だとも言われておるが、枝分かれした道に惑わされる冒険者が後を絶たないのだとか・・・。洞窟の一番奥の玄室に幸運の女神のペンダントが隠されておるらしいのじゃが、巧妙に隠されており、通常の方法では見つける事は困難だと言われておる。おぬしに真の勇気と知恵があるなら、試してみるがよかろう。もっとも、ワシは命の保証はできんがの。ホッホッホ。
なになに?、そんなに危険な洞窟なら友人を誘っていっしょに潜れば良いじゃと?。ふむ、そう考える者も大勢おるがの・・・
しかし勇者の洞窟は真の勇気と知恵を試される場所だと言う事を忘れてはいかんぞ。洞窟では、おぬしの友人とそっくりの姿と声を持った惑わしの幻覚が現れるそうでな。惑わされた者達は仲違いをし、洞窟の中で殺し合うのだそうじゃ。それでもお互いが幻覚と本物を見分ける勇気と知恵を持っていると思うなら、友人を誘ってみるのもよかろう。
さて最後に「富の国」じゃが、ここには「カネモーチ」と呼ばれる裕福な人々が暮らしておる。ただし彼らの中にも「幸せな者」と「不幸な者」と呼ばれる階層があるようで、「不幸な者」達は、陰で悪の教会を支配しているとも、シャチーク達に重労働を課して搾取しているとも噂されておる。
もっとも本当のところはワシにもわからんがね。富の国の最奥には「白亜の塔」が建っており、それはそれは見事な作りなのじゃそうじゃ。じゃがいかんせん富の国に関する正確な情報は少なくてのう・・・白亜の塔の中がどうなっておるのかについては、ワシにも知るよしがない。
どうじゃ、素晴らしい世界じゃろう?。なに?、始まりの村から出たくないじゃと・・・
ふむ、残念じゃがそのような者はある年齢に達したら、強制的に黒の国か荒野の国へと送られる決まりになっておるのじゃ。ううん、ワシに文句を言われてもどうにもならんぞ。悲しいことじゃがのう。
なに、若いの!。おぬしは見込みがある。修羅の国で実力をつけるも良し、荒野の国から勇者の洞窟を抜けるも良し、オヌシの冒険は今はじまるのじゃ。
さてさて・・・私はかつて黒の国と修羅の国で長く暮らし、底なし沼にはまって九死に一生を得て、今度は荒野の国へと旅立とうとしています。
もちろん目的は勇者の洞窟をくぐり抜け、幸運の女神のペンダントを手にいれて、富の国の幸せな者になる事なのですが・・・。賢者のいう「真の知恵と勇気を示す」ことは出来るでしょうか?
(なんかノリと勢いでRPG風に書いていたら、本物のファンタジーが書きたくなりましたw)
希望を持ち、前を向いて行きたいと思います。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:勇者の洞窟を抜けろ!
今日の箴言:
今日の書籍:
- あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。:日野 瑛太郎(東洋経済)
今日の写真:freepic.com様
いつか書く: