こんにちは、MSLABOです。
「将来XXXになりたい」と夢を持ち、そんな夢に向かって努力をし行動する。素晴らしいことだと思います。
ところであなたは、「あなたの人生における成功や夢とは何ですか?」と聞かれたら、どのように答えるでしょうか?。
「お金持ちになりたい」「幸せになりたい」「漫画家になりたい」「医者になりたい」・・・など、具体的な職業(医者、漫画家)」や、なった結果(お金持ち、幸せ)を答えることが多いのではないでしょうか?。
もちろん、そんな答えが間違えているわけではないと思います。それに、先のような質問をされたら、きっと私もそのように答えるかもしれません。
「賢者の書:喜多川 泰:ディスカヴァー・トゥエンティワン」を読みました。その中で「自らが賢者になる」ために旅を続ける主人公サイードが、ある賢者に出会う場面があります。
賢者はサイードに、「君は将来どうなりたいのかね?」と問います。もちろん、主人公の目的は「賢者」になる事です。
賢者 :「君は将来どうなりたいのかね?」
主人公:「僕は最高の賢者になりたいんです。」
賢者 :「それは「何になりたいか」であって、「どうなりたいか」ではない。」
主人公:「?」
賢者 :「それに賢者というものは、自ら宣言してなるものではない。期せずして、人々からそう呼ばれるようになるものだよ」
(画像URL:メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド 様)
書籍の中で明示はされていませんが、ある賢者は日本人という設定のようです。その賢者が昔(江戸時代?)の身分制度を例えに、「何になるかが重要なのではない」と主人公に言うのです。
厳しい身分制度の元では、生まれた家柄や階級が「将来なるべき(なれる)職業」を決めてしまいます。(史実でも例外はあったようですが)普通、農民の子は武士にはなれません。また武士の子が商人になる事もできません。
そのような社会では、何になりたいかは生まれた瞬間に決まっています。だから「何になるか」なんて考えてもしょうがありません。「何になりたいか」ではなくて、「どうなりたいか」を一生懸命考えるしかないのです。
幸いなことに21世紀を迎えた現在、少なくとも日本では身分制度が廃止され、職業選択の自由が保障される社会となりました。しかしこの「努力次第で何にでもなれる社会」では、選択肢が増えた事により、「何になるか」悩むことになります。
「努力すれば夢はかなう」と教えられ、それがいつしか自分の夢は「有名な会社に就職する事」「有名な大学に入る事」へとすり替わるのではないでしょうか?。あるいは努力する事にすっかり疲れて、「どうせ無駄だ。もう適当でいいや」とあきらめ気分になる・・・。
選択の自由は素晴らしい事です。選択肢が多いという事は可能性が多いとも言えるからです。しかし「可能性に目移り」するあまり「何に成るか」ばかりに目を奪われて、「どうなりたいか」を考える事がないと賢者は指摘します。
たとえば「なにか面白いマンガを読みたい」場合を考えてみましょう。
私の子供の頃のように、手に入るマンガの種類が限られていた時代は、何を買おうか迷うことはありませんでした。田舎の小さな書店で売られているマンガの種類は限られていたからです。
しかし現在のように無数の雑誌やマンガがインターネットで手軽に買える時代になると、「良くわからないので片っ端から買ってみる」わけにもいきません。目移りしますし、どうしても「何を買おうか」迷ってしまいます。
「自分は、どんなマンガが読みたいのか」を意識していないと、他人の書評や評判に流されて、気が付くと読むつもりがなかった本を買っていたり、他人の評価に自分の選択を委ねる結果となります。
『運命は、志あるものを導き、志なきものをひきずってゆく。』
ルキウス・アンナエウス・セネカ:古代ローマの哲学者
喜多川さんは書かれます。
「人生における成功を、何になるかに求める人は多い。しかし、これになれたら成功、幸せなどという職業は存在しない」と。
だれもが成功の証と考える職業(弁護士や医者)であっても、Webなどを検索すると
・労働時間が非常に長い
・生活が不規則
・休みだろうが夜中だろうが呼び出される
・責任が重大で、ミスが許されない
・患者や顧客対応で気苦労が絶えない
・開業するのに大きな資金が必要で、借金が多い
など、数々の苦労話を見つけることができます。
このあたりは職業が医者である「いのうげんてん」さんの「カルテに書けない よもやま話」様にまとめられていますので、興味がある方は読まれてみると良いかもしれません。
「成功は職業についてくるものではなく、人についてくるものだ(中略)。まず真剣に考えなければならないのは、どんな人間になりたいかである」。
だから「人生における成功や夢とは何ですか?」と聞かれたら、まずは「自分はXXXという人間になりたい。そういう人間になれる事が夢です」と答えるのが良さそうです。
『我々は自らのビジョンに賭けているんだ。そうする方が横並びの製品をつくるよりいいと思っている。そういうものは他社に任せるよ。我々にとっていつも大事なのは次の夢なんだ。』
スティーヴ・ジョブズ:実業家(Apple社創始者)
アップル社(ジョブス)には、多くのコアなファン(信者)がいるそうです。コアなファンは、一度ファンになったら、簡単にその会社の製品から離れることはありません。
世の中の企業が「儲かればなんでも良い」という製品を追いかける中、「こんな製品を作りたい」という思いを大切にしたからこそ、今のアップルがある・・・そんな事を考えさせられる言葉です。
本当に成功したいのなら、どのような自分になりたいのか、どんな人でありたいのかという思いを大切にするわけですね。
「人の命を救えるような人間になりたい」とか「人に感謝される人間になりたい」と思って医者になった人は、「お金が儲かるから医者になった」という人よりも、きっと素晴らしい仕事をするとは思いませんか?。少なくとも私なら、そんな医者に看てもらいたいです(笑)。
医者や弁護士にかぎらず、学校の先生やタクシーの運転手、大工や床屋や専業主婦であっても、「何のためにやるのか」「どのような人間でありたいのか」が大切であり、その目標のために一途に努力するならば、それは素晴らしい人生に違いありません。
『人間にとって成功とはいったいなんだろう。結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。』
岡本 太郎:芸術家
偉人の話や書籍から、同じ努力をするのなら「どのような人間になりたいのか」に向かって努力する事が大切なのだと、学ばせていただきました。
さて、あなたは「どのような人間」になりたいでしょうか?。
名古屋:伏見のオフィスより感謝を込めて。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:どのような人間になりたいのか
今日の箴言:
ルキウス・アンナエウス・セネカ:古代ローマの哲学者
スティーブ・ジョブズ:実業家(Apple社創始者)
岡本 太郎:芸術家
今日の書籍:賢者の書:喜多川 泰:ディスカヴァー・トゥエンティワン
今日の写真:photo-AC 様:スーパーパパさん