◆PROCESSING 逆引きリファレンス
カテゴリー：音楽・演奏
BGMの再生位置を制御する（minim編）
【解説】
minimは、PROCESSINGで手軽に音楽を演奏できるライブラリです。
minimについて、より詳しく知りたい方は下記公式サイト 様を参照して下さい。
音楽の演奏では、単純に最初から最後まで順番に演奏をするだけではなく、早送りや巻き戻しを行いたい事があります。
また最後まで演奏したら最初に戻って繰り返し再生する（リピート再生）を行いたい場合もありますよね。
minim には、このような用途に利用可能な「再生位置をコントロールする機能」が備わっています。
AudioPlayer クラスの cue() メソッドを利用すると、指定したミリセカンド位置から再生を始めることが可能です。
早送りや巻き戻しを行うには、現在再生中の位置を知る必要があります。今演奏している場所から xxxミリセカンド（前後）に再生位置を移動するわけです。
現在再生中の位置は AudioPlayer クラスの position() メソッドで取得可能です。また音楽ファイル全体の演奏時間は AudioPlayer クラスの length() メソッドで取得できます。
演奏が終了すると、再生位置は自動的に音楽ファイルの最後尾に位置づけられます。この状態から引数なしで AudioPlayer クラスのplay() メソッドを発行しても、先頭から音楽が再生される事はありません。
（画像URL:illust-AC 様：任々堂工房 さん）
このような場合は、AudioPlayer クラスの rewind() メソッドで再生位置を先頭に戻してから play() メソッドを発行します。先頭から直ちに再生して良いのであれば play( 0 ) とする方法もあります（笑）。
【構文】
●指定した位置を再生位置にする
void player . cue( int millis ) ;
●再生位置を先頭にする
void player.rewind( ) ;
●現在の再生位置を知る
int pos = player.position( ) ;
●音楽ファイルの演奏時間を知る
int len = player.length( ) ;
player は AudioPlayerクラスのインスタンス変数です。
【パラメータ】
millis ： 再生を開始する位置（ミリセカンド）
pos ： 現在の再生位置（ミリセカンド）
len ： 音楽ファイルの長さ（演奏時間。ミリセカンド）
【注意】
cue() メソッドについて
cue() メソッドに与えるのは、先頭からの演奏時間です。
例えば 6000ミリセカンド（6秒）の演奏時間がある音楽ファイルに cue( 4000 ) ; と指定すると、先頭から4秒経過した位置を新しい再生位置とします。
cue() メソッドに、音楽ファイルの演奏時間より大きな値を与えた場合は、再生位置が最後尾になります。0 または負の値を与えると、再生位置は先頭になります。
position() メソッドについて
position() メソッドで得られる値は、現在の再生位置です。例えば 2000 が戻ってきたとしたら、先頭から2秒間経過した場所がその時点の再生位置だという事になります。
当然ですが、演奏中は刻一刻と再生位置が変化します。position() で得られる値も変化する事になるので注意して下さい。
length() メソッドについて
lenght() メソッドで得られる値は、loadFile() メソッドで読み込んだ音楽ファイルのトータル演奏時間です。例えば 5000 が戻ってきたとしたら、全部で5秒間の演奏時間があるという事になります。
rewind() メソッドについて
rewind()メソッドは、再生位置を必ず音楽ファイルの先頭に位置づけます。minim の内部では cue ( 0 ) ; と同じ処理を行っています。
rewind() しても再生を開始するわけではありません。あくまで再生位置を変更するのみです。
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サンプルプログラム
再生位置を先頭に巻き戻す例：
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import ddf.minim.*; //宣言 Minim mini; //Minimオブジェクト変数 AudioPlayer player; //音楽制御用インスタンス //------------------------ // 初期処理関数 //------------------------ void setup(){ boolean breakFlg = false; //初期処理エラーFLG size(200,200); //Minimインスタンスを作成する mini = new Minim( this ); //音楽ファイルを読み込む player = mini.loadFile("bgm.mp3"); if( player == null ){ println( "loadFile() error" ); breakFlg = true; } textSize( 16 ); textAlign( LEFT, TOP ); if( breakFlg == true ){ //エラーなら終了 noLoop(); exit(); } } //------------------------ // 描画処理関数 //------------------------ void draw(){ background( 255 ); //状態表示 String msg; if( player.isPlaying() ){ msg = "Playing"; } else { msg = "Stopped"; } fill( 0 ); text( msg, 64, 32 ); } //------------------------ // マウス押下イベント //------------------------ void mouseClicked(){ //マウス押下縦位置検査 if( player.isPlaying() == false ){ //必ず先頭から演奏開始 player.rewind(); player.play(); } } |
マウスをクリックすると演奏を開始します。
毎回からなず音楽ファイルの先頭から再生されるように、play()する前に rewind() メソッドで再生位置を先頭に巻き戻しています。
＜出力サンプル＞
ミニ音楽プレーヤー例：
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import ddf.minim.*; //宣言 Minim mini; //Minimオブジェクト変数 AudioPlayer player; //音楽制御用インスタンス myButton button[];//ボタン seekBar bar; //シークバー boolean pauseFlg = false; //一時停止FLG //------------------------ //シークバークラス //------------------------ class seekBar{ //描画 void disp( AudioPlayer play ){ //現在の再生位置 float pos = play.position(); //シークバーの土台を描く fill( 128 ); rect( 8, 64, width-16, 24 ); //再生位置までバーを伸ばす float bx = map( pos, 0f, play.length(), 0f, width-16 ); fill( color( 80,80,255 ) ); rect( 8, 64, bx, 24 ); //再生位置と状態を文字で表示する String msg = ""; if( player.isPlaying() == true ){ msg = "Playing :" + int(pos); } else { msg = "Stopped :" + int(pos); } textSize( 16 ); textAlign( LEFT, TOP ); fill( 255 ); text( msg, 16, 66 ); } } //------------------------ //ボタンクラス //------------------------ class myButton{ PImage img = null; int bw, bh; int bx, by; //コンストラクタ myButton( String fileName ){ img = loadImage( fileName ); bw = img.width; bh = img.height; } //表示関数 void disp( int x, int y ){ bx = x; by = y; image( img, bx, by ); } //押下判定関数 boolean isPush( int x, int y ){ boolean ret = false; if( x > bx && x < bx + img.width && y > by && y < by + img.height ){ ret = true; } return( ret ); } } //------------------------ // 初期処理関数 //------------------------ void setup(){ boolean breakFlg = false; //初期処理エラーFLG size(192,200); //Minimインスタンスを作成する mini = new Minim( this ); //ボタン画像を読み込む button = new myButton[4]; button[0] = new myButton( "rewind.png" ); button[1] = new myButton( "play.png" ); button[2] = new myButton( "stop.png" ); button[3] = new myButton( "step.png" ); //シークバーを生成する bar = new seekBar( ); //音楽ファイルを読み込む player = mini.loadFile("bgm.mp3"); if( player == null ){ println( "loadFile() error" ); breakFlg = true; } if( breakFlg == true ){ //エラーなら終了 noLoop(); exit(); } } //------------------------ // 描画処理関数 //------------------------ void draw(){ background( 255 ); //画面下部にボタンを描画する int x, y; x = 0; y = height - button[0].bh; for( int i = 0; i < 4; i++ ){ button[i].disp( x, y ); x = x + button[i].bw; } //シークバーを描画する bar.disp( player ); } //------------------------ // マウス押下イベント //------------------------ void mouseClicked(){ //どのボタンがクリックされたか調べる for( int i = 0; i < 4; i++ ){ if( button[i].isPush( mouseX, mouseY ) == true ){ switch( i ){ case 0: //巻き戻し if( player.isPlaying() == true ){ player.cue( nowPos-5000 ); //5秒前へ } break; case 1: //再生 pauseFlg = false; player.rewind(); player.play(); break; case 2: //停止 if( player.isPlaying() == true ){ player.pause(); pauseFlg = true; } else { if( pauseFlg == true ){ //停止中なら再開 player.play(); pauseFlg = false; } } break; case 3: //早送り if( player.isPlaying() == true ){ player.cue( nowPos+4000 ); //4秒先へ } break; } break; } } } |
ちょっとした音楽プレーヤーです。巻き戻し、再生、一時停止、早送りが可能です。
一時停止中に再度停止ボタンを押すと、停止していた箇所から続きを演奏します。再生ボタンを押した場合は、必ず先頭から演奏を行います。
早送り、巻き戻しボタンの処理で、cue() メソッドを利用しています。またシークバーを伸ばす処理で、position() メソッドにより現在の再生位置を取得しています。
＜出力サンプル＞
（画像URL:illust-AC 様：川竜 さん)
下記はサンプルプログラムと同じ動きになるように、 P5.js＋P5.sound で書き直したものです。動作イメージを確認できます。※
なおブラウザーのSOUND API ( P5.sound ）とminim の仕様の違いにより、上記サンプルプログラムと下記動作例は、すこしだけ異なっています。
- P5.sound では再生位置は秒単位の表示になる
- 早送りを連打すると動作が不安定・・・（汗）
※ブラウザーによっては下記サンプルが表示されない事があります。IE11はNGでした。動作イメージを確認したい方は、FireFox、Chrome、Edgeなどでお試しください。
演奏される音楽は、魔王魂 様から拝借しました。物凄くカッコイイ音楽です。ありがとうございます。
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