こんにちは、MSLABOです。
悪の秘密結社・・・ああ、なんてチープで魅惑的な響きでしょう(笑)。最近のアニメではちょっと事情が異なっているようですが、私たちが子供の頃に盛んに放送されたアニメや戦隊物のキャラクター番組では、必ず登場する「お約束的存在」でした。今回はそんな悪の秘密結社に迫りたいと思います。
その名もずばり「「世界征服」は可能か?:岡田 斗司夫:ちくまプリマー新書」で岡田さんが、この悪の秘密結社と秘密結社を指揮する悪の総統について考察されています。
悪の秘密結社の目的と言えば、誰がなんと言おうと「世界征服」ですよね。
岡田さんによれば、私たちが悪の総統になり悪の秘密結社を組織して世界征服を狙うには、大きく6つの段階があると言います。
- 目標設定
- 人材確保
- 資金調達と設備投資
- 武器の確保と作戦実行
- 部下の管理と粛正
- 最終段階としての世界征服と、その後
1.目標設定
世界を征服して何をしたいのか?・・・岡田さんは、悪の総統たるもの、まずはしっかりした目標設定が欠かせないと言います(笑)。「俺は日頃からXXXは間違っていると思っている。どうだ、俺と一緒にYYYな世界を見てみたいと思わないか?」というヤツですねw。
この理想、理念に従って、次の人材確保を行うわけです。
この熱い信念が、その後の苦しく困難が多い世界征服という野望の原動力になります。「まおゆう」の魔王だって「丘の向こうを見たい」っていう理想を掲げていました。
岡田さんによれば、世のアニメに登場する悪の結社には、世界征服してどうなりたいのか?という目的が不明瞭なものが多いのだとか。
悪の秘密結社の代表と言えば、オジサン世代には仮面ライダーに登場するショッカーが有名です。しかしショッカーもよくよく考えると、世界征服できた暁には何をしたいのかについては、ほとんど語っていません。
2.人材確保
「ひとり」では世界征服なんて夢のまた夢です。一緒に野望を叶えてくれる優秀な人材が是非とも必要です。
「優秀な科学者や人物を誘拐して洗脳する」などはイカス作戦ですが、最初は無理です。そんなのは組織力とか経済力がある程度ついた段階でやる事です。
最初は信念、理想を元に賛同者を集めるしかありません。第一この段階の組織にはお金もありませんから、お金で人を募集するというよりは、信念に賛同してくれるボランティア的人材を募集する事になります。
ですが、そこはなんと言っても悪の組織です。大々的に広告を打って「悪い事したいやつ集まれ!」とは言えませんよねw。そんな事すれば当局やら正義の味方に目をつけられる事間違いなしです。
ですから、ここでは本来の目的を巧妙に隠しつつ、しかし地道に自分の目的に賛同してくれる信頼できる幹部候補を集めるしかないわけです。
3.資金調達と設備投資
人だけいても、現代社会ではお金がないと始まりません。人の募集と同時に資金の調達を行う必要があります。
場合によっては、まず1人である程度の資金を稼ぎ、事業を軌道に乗せた上で人を集める事になるのでしょうか?。ああ、なんて地道なんでしょう・・・・まるで起業家です・・・(汗)。
資金が集まったら、その資金で秘密基地を確保したり、あやしい武器を用意します。どこぞのマンションの1室やレンタルオフィスを確保しましょうw。
てっとり早いのは、自分の信念に賛同してくれる金持ちに「パトロン」になってもらう事ですが、そう上手くはいきません。てっとり早いからといって銀行強盗をしてはいけませんよ。銀行強盗は、その手の映画を見れば解りますが、非常に難しく割に合いません。
岡田さんは、まずは「地道に正攻法で稼ぐ」のが手だと言います。「表向きは法律に則った企業・団体、しかし裏の顔は・・・」というヤツですね。
しかし悪の組織を作るには、いったいぜんたいどれだけ稼がなくてはいけないのでしょうか?。少なくともマイ●ロソ●トやグー●ル並に稼がないと、自動で走る車も怪しいメガネの情報デバイスも作れそうにありませんw。
4.武器の確保と作戦実行
岡田さんによれば、「混乱に乗じて支配する」のは、あまり得策でないと言います。幼稚園のバスを襲ったり貯水池に毒を流すのは一時的な混乱を招くには有効ですが、逆に警戒が厳しくなり、その後の作戦遂行に支障がでます。
第一、部下の子供が通っている幼稚園や、部下の家に引かれている水道に毒を入れる訳にはいきません。そんな事をすれば組織の士気が下がってしまいます(言われてみれば、その通りですね)。
世界を征服する訳ですから、作戦はあくまで「いつでも支配できる一般市民に向けた物」ではなく「既存の支配勢力を倒す」事でなくてはいけないのです。
で、作戦実行には武器が必要です。でも巨大ロボットや怪しい怪人は、開発費用や技術力が必要とされる割には、あまり使い勝手が良くないようです。その証拠に、リアル世界の悪の組織で謎の巨大ロボットを作った人たちは存在しませんw。
5.部下の管理と粛正
いきなり壮大な作戦や目標を立てても成功しません。まずは地道にコツコツと小さな勝利を重ねていくことが結局は早道です。
部下に作戦を任せるようになれば、当然失敗もありますが「失敗した者には死を!」という厳格な処罰は、どうやら良くないようです。なぜなら部下が失敗を恐れて都合の悪い報告はしなくなりますし、第一組織の士気が下がります。
タダでさえ悪の秘密結社は公然と人が集められないのです。悪の組織には「悪い事がしたい」だけの意志薄弱な者が集まりやすいですが、そんな人を訓練し、教育し、目標にそって作戦行動ができるまで育てあげなければいけません。人材命です(笑)。
ましてや創業当時の金のない時期から、信念に賛同してくれて付いてきてくれた幹部を死なせるようでは、野望の達成は遠のくばかりです。
万が一裏切り者の逃亡者が出ても、追いかけて抹殺するのは良くないと言います。なぜなら裏切りや逃亡ができるほどの実力者を粛正するには、それなりの人材を派遣する必要があり、万が一返り討ちにでも遭おう物なら、士気は下がるし2重の人材損失になる為です。
ですから抜け忍のカムイを追いかけた忍者達は失敗だったわけですね。岡田さんは言います。「悪の組織が悪なのは、組織の外から見た場合で、内部では普通の企業以上にマジメでないと、壮大な目標は遂げられません」。納得ですw。
6.最終段階としての世界征服と、その後
見事世界を征服しても、自分以外、いや自分の組織以外に人っ子1人いない荒涼とした世界ではツマラナイと思いませんか?。できれば沢山の人民にかしずかれて「ハハー、XXX様!」と言わせたいものです。
となれば、世界征服をしたからといって傍若無人に殺戮や破壊をしているだけではダメですね。自分を支持してくれる臣下や人民には良い思いをさせて、経済活動を活発にしてもらわないと、せっかく支配した世界が長続きしません。
ちょうど信長が敵対する他国には冷酷非道であった一方で、自国では楽市楽座や農地改革を行って、庶民にもメリットを与えたようにです。
また教科書の改訂を行い、幹部達には特権を与えて自分に忠誠を誓わせる事も大切です。ところが、組織が大きくなり目標を達成すると、こんどは組織の維持、組織内でのルール作りという厄介な問題が立ちはだかるといいます。
組織内での権力闘争や下克上が起こっては、せっかく支配した世界が別の権力に渡ってしまいますからね。また後継者問題も出てきます。
こうして見てみると、「アレ、悪の組織って・・・なんだか現実の会社に似ていないか」って思いませんか?。
一念発起高い理想を持って起業し、仲間を集め、稼ぎを出して組織を大きく強くし、やがて市場を支配する。巨万の富を築いたはいいが、組織内の争いや後継問題に頭を悩ます・・・。
うーん、なんだか悪の組織の雲行きが怪しくなりました(笑)。長くなりましたので、次回に続きたいと思います。
長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。
今日の学び:悪の秘密結社って意外と大変そうだ・・・
今日の箴言:
今日の書籍:「世界征服」は可能か?:岡田 斗司夫(ちくまプリマー新書)
今日の写真:ショッカープロジェクト様
いつか書く:
うぉ!そんな論法があったんだ。岡田さんって、切り口がすごいですね。