生老病死:老を考える

こんにちは、MSLABOです。

前回「生老病死:死を考える」では終末医療に携わる医師 大津 秀一さんの話を中心に、死ぬときに後悔する事は何かという視点で見てきました。今回は御年90歳を超えて元気に活躍されている佐藤 愛子女子の「幸福とは何ぞや:佐藤 愛子:海竜社」から人生の大先輩の意見を聞いてみたいと思います

佐藤さんは雑誌などから「老後の幸福とは?」「幸福になるにはどうしたらよいか?」という取材を受けることが多いそうですが、「自分の幸福をなぜ人に聞くのですか?」と手厳しいです(汗)。
佐藤さんは書きます。「幸福は人それぞれの価値観によって形作られるものだ。(中略)人の意見を聞くよりも生きる力をつけた方が話は早いのに」。

昭和1桁どころか大正12年生まれの女子は、今の私達では想像できない厳しい時代を生き抜かれています。戦争や飢餓を経験し、戦後の混乱と復興を身を持って体験されてきた佐藤さんにしてみれば、「自分の幸せくらい自分の力で見つけなさい!」と言うのは、当然なのかもしれません。そして「苦労を恐れない心を持つことは幸福の1つなのだ」と書かれいます。このあたりの幸福論については、また記事を改めたいと思います。

そんな佐藤さんは、日々人生の可能性が減少していく老人にとっての喜びを「家族の役に立つ」ことだと言います。老人の知恵、経験を若い人、息子、娘や孫に伝えていく事は、老人にとって自分が得てきたものを後世に残す楽しみだと言うのです。
しかし核家族化が当たり前となり、老人は社会保障のお荷物と化した現代日本では、老人はとかく生きづらい存在になってしまったと嘆かれています。
「安心して年老いる」とは、何も「老後の生活が保証されている」事だけを指すのではなく、「老人だからといって役立たずと言われない、邪魔者扱いされない、老人の存在価値を受け入れてもらえる社会」である事のように思うのですが、残念ながら現代の日本はそんな感覚がズレてしまっているのではないかと、私にも思えます。

昔の日本では一家の長男が自分の両親の面倒を見るのは当たり前でした。ところが核家族化が進んだ現代では、老人は老人、若者は若者、それぞれ別々に暮らしています。子供が親の面倒を見ないのです。

4月1日から消費税が上がりましたが、もしも増税の理由が本当に社会福祉の為であるならば、私は致し方ないのではないか?と思います(もっとも新聞論説にもあるように、実際は必ずしも社会福祉や老人保護の為とは言えないところがイケていないのですけどね)。
「自分の親の面倒を見ない若者の代わりに、国が税金で老人の面倒を見ている」と考えれば、本来は各自が自分の親に対して行うべき作業を国にやってもらっているだけであり、なんら不思議ではありません。
もっとも、このようなやり方は大変不自然です。やはり老人は、その子供や、その地域社会全体で面倒を見るのが本来の姿のように思います。そうすれば、老人の知恵が子供や地域社会の役に立てる機会も生まれるのでしょうから。

佐藤さんは老後のメリットについて「心を穏やかにして、死を迎え入れる」事だといい「欲や情念が衰えて穏やかな心持ちで死ぬことができる」事だと書かれています。また「老人にとってのいいことは、さまざまなことを受け入れる力を持つことや、少し離れたところから物事を俯瞰した目線で捉えることができるようになること」だとも書かれています。ガツガツした角がとれて丸くなり、人生の諸事を受け入れる気持ちが持てると思えば、年老いることも悪くはありません。

人は、かく生きてかく死んだ、それだけだ、という思いが、私の芯の部分にあるんです。何が幸せで何が不幸かなんて、その時には分からない。ただ、大事があれば、そこで精一杯頑張って生き抜く。それが幸せだということだと思う」。奥が深い言葉ですね。今を一生懸命生きよ!と言われた気がします。


『年老いたらどうしようとか、先のことを心配して考えるよりも、今を生きることが大切なんだよ。』

エムナマエ:イラストレーター

また、こんな指摘もあります。


『年老いた若者もいる、若々しい老人もいる。だから世代別という横に区切る考え方は間違っている。』

永 六輔:放送作家

安全、安心、今が良ければそれで良いなどと保守的になっている若者は、既に年老いているのかもしれません。ちょっとドッキリします。逆に言えば、チャレンジし続ける気持ちがあれば、人はいつでも若々しいとも言えます。そう考えると、老人と年齢は必ずしも比例しないでは無いでしょうか?


『大業を成し遂げようと思ったら、年老いても青年でなければならない』

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:小説家、劇作家

あなたは既に年老いていませんか?
私は・・・いつまでもチャレンジする気持ちを無くさないようにしたいです
次回は生老病死の病について考えたいと思います。

長い文章を読んで頂き、ありがとうございます。あなたによきことが雪崩のごとく起きますように。


今日の学び: 年齢と老けは一致しない。今を精一杯生きよ!
今日の箴言:

  • エムナマエ:イラストレーター
  • 永 六輔:放送作家
  • ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:小説家、劇作家

今日の書籍: 幸福とは何ぞや:佐藤 愛子:海竜社
今日の写真:lllust AC様:こはる さん
いつか書く:幸福論について

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